アズサ・ストリート・リバイバル

アズサ・ストリート・リバイバルとは

アズサ・ストリート・リバイバル（Azusa Street Revival）は、1906年にアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスのダウンタウンにあるアズサ通り（Azusa Street）で勃発した、キリスト教における画期的な霊的復興運動です。この出来事は、その後の世界のキリスト教に大きな影響を与え、特に現代のペンテコステ運動の直接的な起源として広く認識されています。

このリバイバルは、使徒行伝に記されている初代教会の聖霊降臨のような、超自然的な霊的体験を再び求める動きの中で起こりました。特徴としては、参加者が聖霊によるバプテスマを経験し、異言を語る、預言を行う、病気が癒やされるといった現象が顕著に見られました。集会はしばしば熱狂的で、長時間を要し、人種や社会階層を超えた人々が集まったことでも知られています。

運動の起源と展開

アズサ・ストリート・リバイバルの遠因は、その数年前にカンザス州トーピカで起こった出来事に遡ります。1900年の末から新年にかけて、ベテル聖書学校を主宰していたチャールズ・パーハムのもとで、使徒時代の霊的現実を体験しようという祈祷会が持たれました。この祈りの中で、指導者であるパーハム自身を含むほとんどの学生が、聖霊のバプテスマを経験し、異言を話し始めたとされています。

この現象は、地元の新聞「ザ・トーピカ・キャピタル」をはじめ、カンザスシティやセントルイスの新聞でも報じられ、一定の注目を集めました。報道を聞きつけた多くの人々がベテル聖書学校を訪れ、この新しい霊的な動きに関心を寄せました。パーハムは1901年以降、この体験を携えて学生たちと共に各地を巡回して伝道を行いました。

1905年、パーハムは聖書学校の拠点をテキサス州ヒューストンに移しました。その頃の学生の中に、後にアズサ・ストリート・リバイバルの中心人物となるウィリアム・シーモアがいました。シーモアはアフリカ系アメリカ人の伝道者で、パーハムから「異言は聖霊による火のバプテスマの明確な証拠である」という教えを受けました。この教えに深く影響を受けたシーモアは、1906年4月に伝道のためにロサンゼルスへと派遣されました。

ロサンゼルスでの爆発

ロサンゼルスに到着したシーモアは、早速既存の教会で聖霊のバプテスマ体験について語り始めましたが、彼のメッセージや体験は当時の主流派教会には容易に受け入れられませんでした。異言などを伴う彼の教えは理解されず、教会での奉仕の機会を失ってしまいます。

しかし、シーモアは諦めず、関心を持った数人の信徒宅で小さな集会を続けました。この自宅集会で、参加者たちの間で劇的な聖霊体験が起こり始めました。人々は熱狂的な祈りや賛美に加わり、中にはエクスタシー状態に陥る者や、異言を語り始める者も現れました。これらの超自然的現象は、参加者の間に大きな衝撃と感動をもたらしました。

集会の評判は瞬く間に広がり、参加者が日ごとに増えていきました。狭い自宅では収容しきれなくなったため、一行は新たな場所を探し、アズサ通り312番地にあった使われなくなっていた古いメソジスト教会の建物を借りることにしました。これが、後に歴史に名を刻む「アズサ・ストリート伝道館」となります。ここで、1906年4月から1909年まで、週7日、一日中続く集会が3年間にわたって継続されました。

アズサ通りでの集会では、異言、預言、奇跡的な癒やし、霊的な歌などが頻繁に起こり、その熱気はロサンゼルスの新聞でも「奇妙な言語現象」などとして報じられました。この新聞報道が、全米中の人々に関心を抱かせ、多くの人々がアズサ通りを目指してロサンゼルスへと旅立ちました。様々な教派や人種、社会背景を持つ人々が集まり、共に祈り、聖霊のバプテスマを求めました。

ペンテコステ運動への波及

アズサ・ストリートでの出来事は、現代のペンテコステ運動の決定的な発祥点となりました。ここで経験された聖霊体験、特に異言を聖霊によるバプテスマの主要な証拠と見なす考え方は、その後のペンテコステ派神学の核となっていきます。

この運動は、瞬く間にアメリカ各地へ、そしてさらに海外へと波及していきました。例えば、集会を訪れたノルウェーのメソジスト派牧師T・B・バレットは、このリバイバルの体験を持ち帰り、スウェーデン、ノルウェー、デンマークといった北欧諸国や、ドイツ、フランス、イギリスなどヨーロッパ各地にペンテコステ運動を広める重要な役割を果たしました。

アズサ・ストリート・リバイバルは、それまで主流ではなかった聖霊体験、特に異言に焦点を当てた新しいキリスト教運動を誕生させ、20世紀以降の世界のキリスト教地図を塗り替えることになった、極めて重要な歴史的出来事です。

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