アズダルコ科

アズダルコ科：空を舞う巨大翼竜

アズダルコ科（Azhdarchidae）は、白亜紀後期に生息していた翼竜の一分類群です。その名前はペルシャ語で「ドラゴンのような怪物」を意味する"اژدر"（Azhdar）に由来します。アズダルコ科は、史上最大の飛行動物を含んでいましたが、中には猫ほどの大きさの種も存在しました。

特徴

アズダルコ科の翼竜は、長い脚と非常に長い首を持つことが特徴です。特に、その長い頸椎は、アズダルコ科に分類される種を識別する上で重要な要素となっています。保存状態の良い骨格が発見されている属もあり、チェージャンゴプテルスやケツァルコアトルスなどがその例です。

頭部もまた長く巨大で、槍のような形状のクチバシを持っていました。クチバシの形状には大きく分けて2つのタイプが存在し、「短く深く鈍いもの」と「長く薄く鋭く尖ったもの」があります。

生態

かつては、アズダルコ科の翼竜がアジサシのように水面をかすめるように飛行し、クチバシだけを水に入れて魚を捕食するスキマーであったという説も存在しました。しかし、その後の研究により、アズダルコ科の翼竜はスキマーに必要な適応を欠いており、コウノトリやジサイチョウのように地上を歩き回って餌を探すタイプの捕食者であったと考えられるようになりました。

最大のアズダルコ科の一つであるハツェゴプテリクスは、孵化したばかりの恐竜や小型の恐竜などの小さな獲物を捕食していたと考えられています。ハツェゴプテリクスは、非常に太く長いクチバシを持ち、それを使って獲物を襲撃し、当時のトランシルバニアの生態系の頂点に君臨していたと考えられています。

また、アランカという種は、顎の骨の形状から、貝やその他の硬い殻や甲羅を持つ獲物をクチバシで突き壊して食べていたと考えられています。

大きさ

アズダルコ科の翼竜は、一般的に中型から大型であり、最大のものは翼開長が10〜12mに達すると推定されています。現在、翼開長が10mに達した飛行生物はアズダルコ科以外には知られていません。そのため、アズダルコ科の最大種は、史上最大の飛行生物であると考えられています。

しかし、翼開長が10mを超えると考えられている種の全身骨格は発見されておらず、その正確な大きさははっきりしていません。そのため、アズダルコ科の最大種がどの種であったのかは、まだ結論が出ていません。

翼開長が10mを超えると推定されている種としては、以下のものが挙げられます。

ケツァルコアトルス・ノルトロピ
ハツェゴプテリクス・タムベマ
クリオドラコン・ボレアス
アランボウルギアニア・フィラデルフィアエ

ただし、アランボウルギアニアは近年、翼開長が7〜9m程度であったと推測されており、最大種候補から外れる可能性が出てきています。

系統

アズダルコ科は、当初、歯のない長いクチバシからプテラノドンと近縁であると考えられていました。しかし、歯のあるクテノカスマ類（クテノカスマやプテロダウストロのようなフィルターフィーダー）の方が形態的に近いと主張する研究者もいました。現在では、トゥプクスアラやタペジャラのような翼竜がより近縁であるという考え方が広く受け入れられています。

分類

以下は、2006年のUnwinによる分類から、タペジャラ類に移されたモンタナズダルコを除外したものです。

アズダルコ科
アエロティタン
アランカ
アララズダルコ
アランボウルギアニア
アズダルコ
クレトルニス
エウラズダルコ
ハツェゴプテリクス
オルニトケイルス・ブンゼリ
パレオクルソルニス
フォスファトドラコ
ケツァルコアトルス
ヴォルガドラコ
チェージャンゴプテルス
アズダルコ科かもしれない属
ベネッタジア
ボゴルボヴィア
ドラトリンクス
エオアズダルコ
* ナヴァジョダクティルス（ナバホダクティルス）

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