翼竜

翼竜の概要

翼竜（よくりゅう）または翼竜類（学名: Pterosauria）は、主に飛行に特化した爬虫類の一群です。彼らは地球上で初めて空を飛んだ脊椎動物であり、三畳紀に現れ、白亜紀末に絶滅しました。翼竜は現代の鳥類に比べて飛行能力が劣り、また地上を歩くことも得意ではありませんでした。

分類

翼竜は爬虫類に分類され、恐竜とは近縁でありながら、別のグループとして存在します。2020年には、ラゲルペトン科が翼竜の直接の祖先であるという新しい仮説が提唱されました。

翼竜は以下のような上位分類に位置づけられます:

• - 有羊膜類 Amniota
• - 竜弓類 Sauropsida
• - 爬虫類 Reptilia
• - 双弓類 Diapsida
• - 主竜形類 Archosauromorpha
• - 主竜類 Archosauria
• - 鳥頸類 Ornithodira
• - 翼竜様類 Pterosauromorpha
• - 翼竜類 Pterosauria

従来、翼竜は嘴口竜亜目と翼指竜亜目の2つに分類されていましたが、最近の研究では嘴口竜亜目は側系統であることが明らかになっています。代表的な種としてはランフォリンクスやプテラノドン、ケツァルコアトルスが挙げられます。

発見の歴史

翼竜は1784年にイタリアの博物学者コジモ・アレッサンドロ・コリーニによって初めて報告されました。初期の比較的誤解された分類が多く存在しましたが、19世紀にはフランスの博物学者ジョルジュ・キュヴィエが初めて翼竜を空を飛ぶ爬虫類と認識しました。現在までに60を超える属が発見されています。

特徴

翼竜の体のサイズは多岐に渡り、小型の種は小鳥程度の大きさから、最大12メートルを超える翼開長を持つものも存在します。彼らは大きな頭部と翼、そして相対的に小さい胴体を持つことが特徴です。翼は膜構造であり、コウモリの翼に似た特徴を持っていたと考えられていますが、コウモリと異なり、特定の指だけで膜を支えていました。

また、翼竜は含気骨を持ち、これは体重を軽くするために進化した構造です。この軽量構造により、飛行が可能になったとされています。体重に関しても、例えばケツァルコアトルスのような巨体でも約70kg程度であり、驚くべき軽さを誇ります。また化石からは恐竜や鳥類に似た羽毛が見つかっており、彼らが羽毛を持っていた可能性が高いと考えられています。

色に関しては、現代の海鳥に似ており、紫外線を避けるため背中は黒、腹側は白であったという説もあります。クンペンゴプテルスの化石からは、食物を消化できなかったものをペリットとして吐き出す習性も示唆されています。

飛行能力

近年の研究により、翼竜が全く羽ばたかなかったという考え方は否定的に見られており、一部の大型種は滑空しつつも羽ばたく能力を有していたと考えられています。身軽な骨格と柔軟な翼膜により、飛行における状況に応じた調整が可能だった可能性もあります。

また、彼らの脳の大きさや飛行制御能力から内温性だった可能性も指摘されており、羽毛は体温を維持する役割を果たしたのかもしれません。飛行能力の維持と飛行スタイルは、彼らの生態的な役割にとって重要でした。

代表的な属

• - ランフォリンクス(Rhamphorhynchus): ジュラ紀に出現し、長い尾を持ち、翼開長は最大175センチメートルです。
• - プテロダクティルス(Pterodactylus): ジュラ紀の翼竜で、翼開長は50～75センチメートルです。
• - プテラノドン(Pteranodon): 白亜紀の北アメリカで見られ、翼開長は7～9メートルと大型です。
• - ケツァルコアトルス(Quetzalcoatlus): 同じく白亜紀の北アメリカに出現し、翼開長は10メートルを超えたとされ、空を飛んだ最大の生物です。

このように翼竜は多様な特徴と歴史を持ち、地球上の生態系における重要な存在でした。彼らの飛行能力や生活スタイルを理解することは、進化の過程を知る上でも重要です。

もう一度検索