アセス

アセス

「アセス（Acess）」は、製薬会社である佐藤製薬から販売されている、歯肉炎や歯槽膿漏といった歯周病の治療に用いられる医薬品を中心としたオーラルケアブランドです。この名称は同社の登録商標となっています。

アセスのルーツは、ドイツのマダウス社が開発した『PARODONTAX（パラドントックス）』という歯肉炎・歯槽膿漏治療薬にあります。この海外製品を基に、日本国内の市場や消費者向けに処方を調整して開発され、1978年に佐藤製薬から初めて発売されました。以来、今日に至るまで、歯周病ケア製品の代表的なブランドの一つとして広く認知されています。

特徴的な成分

アセスブランドの多くの製品、特に中核となる医薬品シリーズには、長年の研究に基づき厳選された3種類の天然ハーブが有効成分として配合されています。これらのハーブは、それぞれ歯周病の様々な症状にアプローチします。

カミツレ: 別名カモミールとも呼ばれる植物で、優れた消炎作用を持ち、歯ぐきの炎症を鎮める効果が期待できます。
ラタニア: 南米原産の低木で、タンニンなどを豊富に含み、引き締め効果や止血、抗菌作用があると言われています。
ミルラ: アフリカやアラビア半島に分布するカンラン科の木の樹脂で、古くから薬としても利用されてきました。鎮痛作用や殺菌作用を持つとされています。

これらの天然ハーブの組み合わせが、歯ぐきの腫れや出血、痛み、口臭といった歯周病特有の症状に働きかけ、歯ぐきの健康を取り戻すことを目指します。

製品ラインナップ

アセスは、医薬品の歯磨き剤を主力として、マウスウォッシュや関連商品である歯ブラシなど、多様な製品を展開しています。医薬品の歯磨き剤シリーズにおいては、2012年4月に主要な6アイテムのリスク区分が、従来の【第2類医薬品】から【第3類医薬品】へと変更されています。

主な医薬品シリーズ

アセス: ブランドを象徴する基幹製品です。前述の3種の天然ハーブを配合しており、歯ぐきへの働きかけを重視しています。独特の塩味が特徴で、発泡剤や研磨剤は含まれていません。容量別に60g、120g、180gの3サイズが用意されており、2011年12月にはパッケージデザインが一新されました。
アセスL: 1989年に発売された製品です。「アセス」特有の塩味が苦手な方や、比較的若い世代のニーズに応えるため、香味をライトなミント味に変更しています。容量は基幹の「アセス」と同様に3サイズ展開で、こちらも2011年12月にパッケージデザインのリニューアルが行われました。
アセスE: 2008年7月にラインナップに加わりました。3種類の天然ハーブ成分に加え、血行促進作用を持つビタミンE（トコフェノール酢酸エステル）を新たに配合しています。より爽やかな使用感を目指し、フルーツミントフレーバーとなっています。
アセスジュニア: 1990年に発売された、小中学生向けの医薬品歯磨きです。子供の歯肉炎（歯ぐきの腫れや出血、口臭など）に対応するために開発されました。配合成分は「アセス」と共通ですが、香味はミント味で、パッケージには佐藤製薬のマスコットであるサトちゃんが描かれており、子供にも親しみやすいデザインです。
アセス液: 1990年に発売された、水で薄めて使用する希釈タイプの医薬品マウスウォッシュです。歯磨き後の仕上げなどに使用することで、歯ぐきへの有効成分を行き渡らせます。
アセスメディクリーン: 2008年5月発売の医薬品マウスウォッシュです。殺菌剤不使用で、低刺激設計を特徴としています。希釈の必要がなく、そのまま口に含んで使用できます。2012年4月のリスク区分変更に合わせてパッケージデザインが改訂されました。

医薬部外品・その他の製品

薬用コートアセス: 2003年11月発売の医薬部外品歯磨きです。知覚過敏症状を予防することに主眼が置かれており、硝酸カリウムが歯の神経への刺激伝達をブロックして歯がしみるのを防ぎます。さらに、フッ素（モノフルオロリン酸ナトリウム）による歯質強化や、アルジオキサによる歯ぐきの修復促進作用も兼ね備えており、歯周病予防効果も期待できます。

製造終了した製品

過去には、飲むタイプの歯周病内服薬も存在しました。1997年に発売された「内服用アセス」は、後に塩化リゾチームやビタミンC、ビタミンEなどを配合し、錠剤を小型化して服用しやすさを改善した「アセス錠」へ引き継がれましたが、いずれも現在は製造を終了しています。また、口臭予防を目的とした、3種のハーブも配合されたマウスケアフィルム「ミントアセス」（医薬部外品）もかつて販売されていましたが、こちらも製造を終えています。

関連する歯ブラシ

アセスは、歯磨き剤の効果をより引き出すための歯ブラシも提供しています。1979年に発売された「アセス歯ブラシ」は、歯ぐきを傷つけにくいよう、毛先を丸めたナイロン毛を採用しているのが特徴です。その後、やわらかめタイプである「アセス歯ブラシソフト」（1989年）や「アセス歯ブラシS」（1982年）が加わりました。さらに、子供向けの「アセスジュニア歯ブラシ」（1992年）もラインナップされており、柄にはサトちゃんがデザインされ、名前シールも付属しています。

CMによるプロモーション

佐藤製薬は、アセスブランドの認知度向上と普及のため、積極的にテレビCMを展開してきました。過去には、テニス界のスター選手だったジョン・マッケンロー氏（1980年代）や、国民的タレントのタモリ氏（2002年頃から）、女優の森泉氏（アセスE、2008年頃から）など、幅広い層に知られる著名人がCMキャラクターとして起用されています。その他にも、プロゴルファーの藤田寛之氏や落語家の春風亭昇太氏なども出演歴があります。

長年にわたり、天然ハーブの力を活用した歯周病ケア製品として、多くの人々の口腔衛生を支えてきたブランドと言えるでしょう。

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