アセンデッドマスターの教えとは
アセンデッドマスターの教えは、人が転生の輪廻とカルマから自由になり、不死の存在へと進化するための道を示すとされています。この教えは、アセンションを達成し、神と一体化することを目指します。その起源は19世紀後半の
神智学協会に遡り、1930年代のIAM運動によって詳細が加えられました。ただし、神智学の当初の概念とは異なるため、神智学者からは批判的な見方も存在します。
アセンデッドマスターという言葉が初めて登場したのは、1934年に出版されたガイ・バラード著『ヴェールを脱いだ神秘』です。この書には、
サンジェルマン伯爵の言葉が転記されているとされています。アセンデッドマスターの教えを説く宗派には、ブリッジ・トゥー・フリーダム、サミットライトハウス、アーテリウス教会、テンプル・オブ・プレゼンス、アイアム大学、ホワイトイーグルロッジ、アクエリアン教会などがあります。
教義の核心
普遍的な全知のプレゼンス:
この教えでは、宇宙には「一なる神」が存在し、それが「普遍的で万能な生命のプレゼンス」、「ザ・ワン」、「あらゆる生命の源なるもの」、「光」、「愛」であると信じます。すべての存在と意識は、この普遍的な生命のプレゼンスから発すると考え、全ては一つであり、一つの物質、エネルギー、力、知性を持つとされます。宇宙のスピリチュアルな要素と物質的な要素は、この「一なる神」において本質的に一致します。
IAMプレゼンス:
各個人は「最も高次の生ける神」の個別の化身であると信じられ、これを「マイティIAMプレゼンス」と呼びます。神は生命と愛であり、個々の神聖な現れを通じて、7オクターブの宇宙にあまねく現れます。IAMプレゼンスは、個人の不滅の真のアイデンティティーでありながら、常に一つの神の全体性を共有しています。
アセンデッドマスター:
アセンデッドマスターは、地球上で転生を繰り返し、あらゆるレッスンを学んだ存在です。物質的な制約を理解し、ネガティブなカルマの少なくとも51%を償却し、神聖な計画であるダルマを達成しました。アセンションを通じて神の側面であるIAMプレゼンスと統合し、無条件の愛の源となります。彼らはスピリットの領域から人類の教師として奉仕し、人類のアセンション後も、さらなる霊的な進化をサポートします。アセンデッドマスターと考えられている存在には、イエス、
孔子、
釈迦、
聖母マリア、聖
パウロ、メルキーデゼック、大天使
ミカエル、大天使
メタトロン、
観音菩薩、
サンジェルマン伯爵、クートフーミなどがいます。
スピリチュアル・ヒエラルキー:
スピリチュアル・ヒエラルキーは、神の自己表現として、グレートセントラルサンから下りてきた力とプレゼンスの手段とされます。地球のスピリチュアル・ヒエラルキー、惑星のスピリチュアル・ヒエラルキーとも呼ばれ、アセンデッドマスターが含まれます。この階層構造の目的は、神聖な光のネットワークを創り、人類のアセンションを支援することです。
バイオレットフレーム:
「神聖な愛のバイオレットフレーム」は、ホーリースピリットの第7光線であり、アセンデッドマスターの一人、
サンジェルマン伯爵のシンボルです。この炎を使って、ネガティブなカルマの「原因、結果、記録、記憶」を変容させることができるとされます。変容、慈悲、自由、赦しの炎とも呼ばれます。
アセンション:
アセンションは、神がすべての人に与えるギフトであり、アセンデッドマスター、天使、天国からのギフトでもあります。個人が神の子としての真の個性を表現し、習熟の道に進むことを意味します。これは、かつて人類が体現していた「神とのワンネス」への回帰であり、肉体、感情体、メンタル体の原子構造を、IAM意識の電子的構造へと引き上げ、神との再統合を通じて不死の存在となることを目指します。
物質平面上の習熟:
「物質平面上の習熟」に達するには、創造的思考力、感情、話し言葉を100%意識的に使い、より大きな完成、喜び、愛を創造する必要があります。制限や束縛、カオスを生み出す思考や感情、言葉を減らし、ネガティブなカルマや記憶の少なくとも51%を償却します。「物質的平面」とは、原子・分子構造の違いによるもので、低い次元は個体、液体、気体の領域、高い次元は感情や思考の電子と原子で構成されます。低い次元で修行することは、エネルギーの達人になる機会を与えます。
神聖な計画の実現:
すべての人々は「神聖な計画」を持って肉体に転生すると考えられます。これは「魂のブループリント」とも呼ばれ、神の意思を表現し、やがては誰もがアセンデッドマスターの道を歩むことを意味します。
口述と教えの伝達
アセンデッドマスターは、メッセンジャーを通して教えを伝えます。IAM活動では、メッセンジャーを通じてマスターとのコミュニケーションが図られ、口述という形で集会で伝えられました。これらの口述は、雑誌に掲載されたり、書籍にまとめられたりしました。また、スピリチュアルヒエラルキーの教えは、ブリッジ・トゥ・フリーダムやサミットライトハウスなどの新しいメッセンジャーへと引き継がれました。
未来への展望
アセンデッドマスターの教えでは、この世界が再び
黄金時代を迎える運命にあると信じられています。それは、かつての
黄金時代とは異なり、恒久的なものとなるとされます。
アクエリアン教会
アクアリアン・クリスティン教会ユニバーサル (ACCU) は、2006年に設立され、アセンデッドマスターの教えを積極的に取り入れています。IAMムーブメントやホワイトイーグルロッジ、ニューソートなどと共通の教義を持ちます。
懐疑的な見方
一方で、アセンデッドマスターの存在に対して懐疑的な見方も存在します。K.ポール・ジョンソンは、ブラヴァツキー夫人が会ったと主張するマスターは、彼女が実際に出会った人物に着想を得た理想像だと指摘しています。
結論
アセンデッドマスターの教えは、個人の霊的な成長を促し、神との一体化を目指す複雑な教義体系です。様々な宗派や運動を通じて広まり、今日でも多くの人々に影響を与えています。しかし、その起源や歴史、教義の解釈には、多様な見解があることも理解しておく必要があります。