神智学協会

神智学協会の概要

神智学協会は、1875年にアメリカ・ニューヨークでヘレナ・P・ブラヴァツキーやヘンリー・スティール・オルコット、ウィリアム・クアン・ジャッジらによって設立された神秘思想の団体です。この協会は「神智学」という理念を通じて、仏教やヒンドゥー教などの東洋の宗教思想を西洋に広めることを目的としていました。

設立の背景には、19世紀後半のアメリカとヨーロッパにおける心霊主義の流行があり、既存の教会に対する批判的な立場から生まれたリベラリズムの一環とされています。神智学協会は、その思想が衰えを見せる1930年代まで、広範な影響力を持ち続け、様々な社会的・政治的な役割を果たしました。特に、ブラヴァツキーの思想はその後の神秘主義者たちに大きな影響を与え、アメリカのニューエイジ運動と密接に結びつくことになります。

設立の経緯と初期の活動

1875年、ブラヴァツキーは精神世界に興味を持つ仲間たちと共に定期的な集会を開き、オカルティズムやカバラに関する研究を進めていました。この活動の中で、参加者の一人であるオルコットが組織を作ることを提案し、その結果、「神智学協会」が誕生しました。初代会長にはオルコットが就任し、他の役職にはブラヴァツキーが選ばれるなど、熱心なメンバーが集結しました。

1877年には、ブラヴァツキーの主著『ヴェールを剥がれたイシス』が出版され、その思想が広まりを見せることとなります。さらに、オルコットがインドへ渡り、現地でも神智学の普及に尽力することで、国際的な運動へと発展していきました。

神智学協会の目的

神智学協会の中心理念には、多様な文化や宗教が持つ宇宙の法則への理解、さらに人類の普遍的な同胞愛の追求があります。時代によってその表現は変化してきましたが、基本には「人種や信条、性別に関わらず、すべての人々の兄弟愛を形成すること」が常に存在しています。

具体的には、比較宗教や比較哲学の研究を進めること、そして未解明の自然の法則や人間が持つ潜在的な能力を探索することが強調されています。これらの目的が求められる背景には、神智学が持つ普遍主義や精神の成長への信念があり、参加者はこの理念を大切にしながら活動してきたのです。

日本における神智学協会

日本においては、神智学協会の影響は1960年代までは薄かったとされています。明治期から紹介はされていましたが、大正期になってようやく具体的な活動が始まりました。アディヤール派のネットワークが形成されたこともあり、大乗ロッジなどの組織が生まれました。

昭和時代には、教育者であった三浦関造が神智学に興味を持ち、その教えを広める活動を展開しました。彼は神智学によるメシア論を提唱し、自身の宗教的見解を大々的に述べるようになりました。彼の活動は一部から評価を受ける一方で、終末思想と結びついたことで批判も集めることになります。

最近の神智学協会は、アディヤールに本部がある国際組織に所属しており、ニッポン・ロッジと呼ばれる日本支部も存在しています。この組織の活動は依然として続いており、スピリチュアルな思想を求める人々に影響を与え続けています。

結論

神智学協会は、設立から145年以上が経過した今でも、その思想や理念は多くの人に影響を与えています。また、ブラヴァツキーの思想は近現代の様々な神秘運動に影響を与え、大衆的なオカルティズムの起源とも見なされています。神智学協会は、宇宙の法則や人類愛の追求を通じて、今後も新たな展開を見せることが期待されています。

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