アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計

アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計（ALMA）

アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計（ALMA）は、チリのアタカマ砂漠に位置する大規模な電波干渉計です。この施設は、世界中の研究者が協力して構築した国際的な天文観測プロジェクトであり、2002年に建設が開始され、2013年には完成が祝われました。ALMAは、電波天文学の新しい可能性を開くことを目的としており、特にミリ波とサブミリ波の電波を使用して宇宙の深遠な現象を観測します。

概要

このプロジェクトは、東アジア（日本、台湾、韓国）、北米（アメリカ、カナダ）、ヨーロッパの国々が参加し、共同で運営されています。標高約5,000メートルのアタカマ砂漠に66台の高精度パラボラアンテナが配置されており、これらを一つの電波望遠鏡として利用します。観測する波長帯は1cmから0.3mm（950GHz）で、これにより遥か彼方の天体を詳細に観測することができます。

この場所が選ばれた理由は、砂漠地帯の乾燥した気候が高周波数の電波観測に適しているためです。水蒸気の影響を最小限に抑え、高精度なデータを収集することができます。また、観測エリアとは別に、メンテナンスや遠隔操作を行うための支援施設も設けられています。

共同利用の枠組み

ALMAは国際的な共同利用施設として、観測のための研究計画を提案し、実施することができる組織です。ヨーロッパ南天天文台（ESO）、日本の自然科学研究機構（NINS）、アメリカ国立科学財団（NSF）などがそれぞれ役割を担っており、特定の観測機器の開発や運用に貢献しています。

歴史的背景

1980年代にさかのぼる構想から、最終的にALMAの実現に至るまでには多くの議論と調整が行われました。アメリカ国立電波天文台が提案した設置場所や研究計画に対し、ヨーロッパや日本もそれぞれのアイデアを持ち寄りました。1990年代は多くの技術的な検討がなされ、最終的に2001年に計画承認が行われ、2004年からの建設に向けて進展しました。

日本はアンテナのいくつかを担当し、2014年には全てのアンテナがアタカマ砂漠に揃い、観測を開始しました。その後、ALMAは数々の成果を上げ、特に高精度の観測データを得ることに成功しました。

観測性能

ALMAでは、口径12メートルのアンテナが54台、7メートルのアンテナが12台取り揃えられ、合計66台のアンテナからなるシステムを構成しています。これにより、前例のない視力で星形成や宇宙の進化を探り、様々な天文学的な研究を進めています。

また、ALMAは各アンテナの配置が柔軟であり、観測対象によって最適な配置が可能です。これにより、広範な天体の構造や様々な天文現象を高感度で捉えることができます。

研究対象

この高度な観測能力を活かし、銀河の形成過程、星や惑星系の生成、宇宙における物質の進化など、多岐にわたる研究が実施されています。特に南半球のスペースにあるため、日本からは観測が困難な天体、如くいて座の中心や大マゼラン雲、などの観測に最適です。

ALMAは、電波天文学の最前線を担う施設として、その存在意義がますます大きくなっています。今後も新たな発見や研究成果の創出が期待されており、宇宙の謎を解明するための重要な役割を果たすことでしょう。

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