アッシュル・ナディン・アヘ2世

アッシュル・ナディン・アヘ2世（在位：紀元前1403年 - 紀元前1393年）は、一般的に古アッシリア時代の最後の王とされています。彼の名前は「アッシュル神が兄弟を与えて下さった」という意味を持ちます。

紀元前15世紀から紀元前14世紀初頭にかけて、アッシュル・ナディン・アヘという名前のアッシリア王が2人存在しましたが、彼らについてはほとんど情報が残されていません。しかし、そのうちの一人はアマルナ文書に登場します。

アマルナ文書とは、古代エジプトのアマルナで発見された、エジプトと周辺諸国との間の外交文書群です。アッシュル・ナディン・アヘの名前が登場する文書は、後のアッシリア王アッシュル・ウバリト1世からエジプト王アメンホテプ4世（アクエンアテン）へ宛てた書簡（EA16）です。この書簡の中で、アッシュル・ナディン・アヘはエジプトへ使者を派遣し、黄金を受け取った人物として言及されています。これは、アッシリアとエジプトの間に外交関係があったことを示す貴重な証拠です。

このことから、アッシュル・ナディン・アヘ2世の治世中には、アッシリアとエジプト両王家の間に婚姻関係や同盟関係が成立していた可能性が考えられます。当時の国際情勢において、このような関係は政治的な安定や経済的な利益をもたらす重要な要素でした。

近年、アマルナ文書に登場するアッシュル・ナディン・アヘは、アッシュル・ナディン・アプリの誤記であり、別人ではないかという議論も存在します。しかし、現時点では確たる証拠はなく、依然としてアッシュル・ナディン・アヘ2世と同一人物であるという説が有力です。

アッシュル・ナディン・アヘ2世の治世は、アッシリアが国際的な舞台に登場し始めた重要な時期でした。彼の外交努力は、後のアッシリア帝国の繁栄の礎を築いたと言えるでしょう。

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