アッシリア

アッシリアの歴史

アッシリア（Assyria）は、古代メソポタミアの北部、現在のイラク北部に位置した地域及び王国で、主にアッシュル市を中心に栄えていました。歴史的にはチグリス川とユーフラテス川の上流域を指し、古代、アッシリアは世界帝国としてメソポタミア、シリア、エジプトにまでその版図を広げました。その影響や遺産は後のハカーマニシュ朝（アケメネス朝）にも受け継がれました。

アッシリアの分期

アッシリアの歴史は、アッシリア語の変遷に基づいて主に次の4つに分けられます：初期アッシリア時代、古アッシリア時代、中アッシリア時代、そして新アッシリア時代です。

初期アッシリア時代

この時代は、文献資料がほとんどなく、主に考古学的な証拠によってその存在が示されています。約紀元前6000年頃から人々が住み始め、徐々に集落が形成されました。ウバイド文化の影響を受けつつ、紀元前3000年頃にはアッシュル市への定住が始まりました。

古アッシリア時代

紀元前2000年頃、アッシリア商人がオリエント各地での交易を行い、商業拠点であるカールムを広げました。この時期にアッシリアは国家体制を確立し、アッシュル神を中心とする宗教と結びついた社会を形成しました。この時代の王はアッシュルの副王を名乗り、国内の商人たちを統率していました。

中アッシリア時代

この時代にはアッシリアがミタンニ王国の影響を排除し、大国としての足場を確立しました。アッシュル・ウバリト1世の統治下で勢力拡大を果たし、その後も内的・外的な課題に取り組む中で、アッシリアの国家体制はさらに進化を遂げました。

新アッシリア時代

紀元前10世紀末からアッシリアの大帝国が形成されるようになり、広大な領域を支配しました。この時期、アッシリアは強制移住や情報収集による柔軟な統治システムを確立し、バビロニア、エジプト、ヒッタイトとの豊富な文献資料が残されています。

政治体制

アッシリアの君主はアッシュル神を神格化し、その名の下で治世を行いました。市民会アールムは重要な決定機関で、リンムと呼ばれる議長がその運営を担いました。王権の増強に伴い、王がリムムを兼任することもあり、特に新アッシリア時代にはその権力が強化されました。

文化と経済

アッシリアの繁栄は商業活動によって支えられ、その結果、多くの文化財が残されました。その中には、アッシュルバニパル王が形成した図書館も含まれ、古代の記録や文学が集約されました。経済面では、税収や貢納が重要な収入源であり、農業や商業も活発に行われていました。

軍事と滅亡

アッシリア軍は高い組織力を持ち、地方軍と中央軍から構成されていました。しかし、広範囲にわたる領土管理や反乱に対応する中で、次第に混乱と衰退を招きました。紀元前612年、ニネヴェが陥落し、アッシリアは滅亡しました。彼らの遺産は後の帝国に引き継がれ、アッシリア文化や技術は現在も影響を与えています。

アッシリアはその長い歴史と豊かな文化を通じて、人類史における重要な位置を占め続けています。

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