アッタカ城人経

アッタカ城人経（Aṭṭhakanāgara-sutta）について

『アッタカ城人経』は、パーリ仏典の中部経典に属する第52経であり、仏教の重要な教えが説かれています。この経典の名称は「アッタカ城」から来ており、別名として『アッタカ城経』や『アッタカ市人経』とも呼ばれています。また、漢訳経典においても類似の文献が存在し、それには『中阿含経』の第217経「八城経」や『十支居士八城人経』などが含まれています。

登場人物と背景

この教えを伝えるのはアーナンダという釈迦の弟子であり、彼は信者たちに対して仏法を教える役割を持っていました。アーナンダが教えを説く相手は、在家信徒であるダサマです。ダサマは仏教の教えに感銘を受け、さらなる理解を求めてアーナンダのもとを訪れました。

物語は、釈迦が亡くなった後の時代を舞台にしています。アーナンダは当時、ヴァッジ国のヴェーサーリーに近いベールヴァ村に滞在していました。アーナンダのもとにダサマが訪れると、彼は仏教の根本的な教えについて知りたくてたまらない様子でした。

教えの内容

アーナンダはダサマに対して、四つの禅定（四禅）、四つの無量心（四無量心）、四つの無色定（四無色定）について説きました。これらの教えは、心の平和と浄化を得るための指針を含んでおり、在家信徒として日常生活の中でどのように仏法を実践するかについて深い洞察を与えます。

四禅

四禅とは、心を熟達させるための四つの心の状態を指します。第一禅から第四禅までのそれぞれの段階では、心がさらに集中し、明瞭さを増します。これにより、精神の特性を理解し、より深い悟りに至るための基盤が築かれます。

四無量心

四無量心は、慈（メッタ）、悲（カラーニャ）、喜（ムッカ）、捨（ウペッカー）の四つを指し、他者に対する無条件の愛情を育む教えです。これを実践することで、自己中心的な考えを超え、より大きな共感や理解を持つことができます。

四無色定

無色定は、物質的な世界を超えた意識の状態を確認するもので、無形であり、精神的な成長を促進します。これにより、内面的な平和と知恵が深まります。

まとめ

ダサマはアーナンダの教えを聞いて法悦し、心の平穏を得ることができました。この対話は、信仰を持つ者が仏法を深く理解し、自らの生活にどのように取り入れるべきかを示しています。『アッタカ城人経』は、現代の私たちにも多くの洞察と実践的な知恵をもたらしてくれる貴重な経典です。

関連文献

日本語訳としては、『南伝大蔵経・経蔵・中部経典2』や『パーリ仏典 中部（マッジマニカーヤ）中分五十経篇I』などがあり、各々異なる翻訳によってこの重要な経典の教えを学ぶことができます。

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