在家

在家（ざいけ）とは

在家とは、仏教において出家せずに家庭で世俗の生活を営みながら仏道に従う人々のことを指します。この用語は特に仏教徒に関連して使われ、出家という概念に対する対義語としての意味を持ちます。在家信者は、男であれば優婆塞（うばそく）、女であれば優婆夷（うばい）と呼ばれ、それぞれの立場で敬虔な信仰が求められます。

在家信者の特性

在家信者は、出家者と同様に仏・法・僧の三宝に帰依しますが、彼らが遵守すべき戒律の数は出家者に比べて少ないです。在家の信者は、一般的に五戒（不殺生、不偸盗、不淫行、不妄語、不飲酒）を守り、さらに進んで八斎戒を遵守します。これらを守ることで、彼らは善行を行い、仏教の教えに従って生活していく義務があります。また、布薩会と呼ばれる修行の場に参加することも、彼らの重要な活動の一部です。ただし、特定の宗派においては五戒が無用とされることもあります。

在家の生活指針

仏教の教典であるパーリ仏典のパッタカンマ経などでは、在家者が守るべき生活のルールが示されています。具体的には、仏陀を信じ、五戒を守り、布施を行い、誘惑に負けないように心がけることが重要です。これらは「四具足」と呼ばれる指針としてまとめられています。日常生活においては、出家者を支援しつつ、自己の精進にも尽力することが求められます。

歴史の流れ

初期仏教においては、釈迦が菩提樹の下で悟りを開いて以来、彼の教えを受け入れる最初の在家信徒が現れました。タプッサとバッリカという二人の商人は、釈迦に麦菓子と蜜団子を寄進し、最初の在家信者となったのです。その後、釈迦は初めての説法を行い、5人の比丘（出家者）が誕生しました。さらに、長者の息子ヤサが教えを聞くためにやってきたことから、彼の父も釈迦に帰依し、初の在家信徒の一人となりました。

次第に、仏教教団が形成されていく中で、在家信者と出家修行者との間に役割の違いが明確になっていきました。在家信者は出家者に対して物質的なサポートを行い、八正道に基づいて倫理的な生活を実践し続けたのです。このように、在家信者は教団の一部としての重要な地位を持つものの、出家者とは異なる道を歩み、仏教の教えを実践しています。

結論

在家は、出家しない仏教徒がどのように仏道に帰依し、倫理的に生活しているかを示す重要な概念です。彼らは日常生活の中に仏教の教えを取り入れ、戒律を守ることによって、自らの信仰を深めていく努力をしています。また、釈迦の教えに従った生活は、仏教徒としての道を歩むための基盤となります。仏教の発展とともに、在家信者の役割も変化しつつある現代において、彼らの存在はますます重要となっています。

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