アッツァイ

アッツァイとは

アッツァイ（アラビア語: الشاي‎ , as-shāy）は、モロッコをはじめとする北アフリカ地域で広く親しまれている喫茶の習慣です。モロッコでは、食事の際に緑[[茶]]を飲むのが一般的で、この習慣はモロッコだけでなく、北アフリカやサヘル地域、スペイン南部などにも広がっています。

アッツァイは、単なる飲み物としてだけでなく、日本の茶道のように文化的な側面も持ち合わせています。モロッコ文化を語る上で欠かせない要素の一つであり、モロッコの人々にとって非常に重要な存在です。また、モロッコは世界有数の茶の輸入国でもあり、特にモロッコ、チュニジア、アルジェリアでは消費量が非常に多く、一人当たりの年間消費量はそれぞれ1.4キロ、1.5キロ、0.7キロにも及びます。

一般的に供されるのは、モロッコミントティーと呼ばれるもので、緑[[茶]]にミントを加えたものです。今日では、食事時に限らず、様々な機会で楽しまれており、客へのもてなしとして提供されることも多くあります。アッツァイを差し出された場合は、断らずにいただくのが礼儀とされています。また、料理は女性が担当することが多いのに対し、アッツァイは家長が給仕するという習慣があります。

アッツァイの起源

アッツァイの歴史は、18世紀頃に遡るとされています。ヨーロッパ人の捕虜の釈放を求めてモロッコを訪れた使者が、当時のスルタンであるムレイ＝イズマルに茶と砂糖を贈ったという記録が残っています。その後、1800年代中盤にマグリブ地域とヨーロッパとの交易が活発になるにつれて、アッツァイはモロッコ中に広まっていきました。

アッツァイの淹れ方

アッツァイの淹れ方は、地域によって異なります。一般的に、モロッコ北部地域では南部よりも甘く仕上げる傾向があります。また、ミントだけでなく、松の実を加える地域もあります。冬の間ミントが手に入りにくい場合には、ニガヨモギを加えて独特の苦味を加えたり、レモンバーベナを加えて柑橘系の風味を加えたりすることもあります。

アッツァイの淹れ方は家庭によって異なり、それぞれ独自のやり方で楽しまれています。以下に、最も一般的な淹れ方を紹介します。使用する茶葉は、中国産の珠茶という銘柄が一般的です。

1. やかんに茶葉と水を入れ（水500mlに対し小さじ2杯の割合）、15分以上火にかけます。
2. かき混ぜずに、別のやかんへ静かに移します。この際、茶葉の出がらしまで移してしまわないように注意が必要です。
3. 砂糖を加え（小さじ5杯程度）、中火で沸かし、砂糖を溶かしきります。
4. ミントをやかんか湯呑みに入れます。ただし、人によっては胸焼けを起こす可能性があるので、2分以内に取り出すのが良いでしょう。

アッツァイとミントは切っても切り離せない関係でしたが、最近では農薬の使用を懸念してミントを使わない人も増えています。

アッツァイは1日に3度飲むことが多く、蒸らす時間を変えることで異なる味わいを楽しむことができます。以下のような格言もよく知られています。

Le premier verre est aussi amer que la vie,

le deuxième est aussi fort que l'amour,

le troisième est aussi doux que la mort.

一番煎じは苦いこと人生の如く、

二番煎じは強いこと愛の如し。

三番煎じは死の如く穏やかである。

アッツァイは、モロッコの文化や人々の生活に深く根付いた、奥深い喫茶文化です。その歴史や淹れ方を理解することで、より深くアッツァイを楽しむことができるでしょう。

脚注

モロッコ#食文化
モロッコ料理
* アラブの茶文化

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