アップホルダー級潜水艦

アップホルダー級潜水艦について

アップホルダー級潜水艦は、イギリス海軍が設計・建造した最後の通常動力型潜水艦であり、その特異な設計と機能は海軍戦術に新たな視点を提供しました。この潜水艦は、1960年代に就役したオベロン級の後に位置づけられ、当初は原子力潜水艦の導入も検討されましたが、静粛性の面で通常動力型潜水艦が優れていたため、計画は変更されることになりました。これにより、イギリス海軍は、沿岸や浅海域での作戦行動のため、通常動力型潜水艦の開発にシフトしました。

1970年代後半、この艦級の開発が始まり、排水量は2,400トンと設定されました。初めて建造された艦は1983年に起工されましたが、1990年代に冷戦が終結するとともに、当初の建艦目標が見直され、最終的には12隻の艦艇が計画されたものの、4隻のみが実際に建造されました。これらの艦艇は1990年代前半に就役しましたが、イギリス海軍の潜水艦兵力が原子力潜水艦のみで構成される方向に進むにあたり、いずれも数年で退役しました。

その後、1998年にはすべての艦艇がカナダ海軍に売却され、ヴィクトリア級潜水艦として運用されることになりました。艦艇は涙滴型の船体を持ち、約22,000枚の吸音タイルが艦体に貼り付けられていることで、潜水時の静粛性を高めています。

同型艦の運用状況

イギリス海軍では、アップホルダー級潜水艦はハープーン艦対艦ミサイルや機雷の運用が可能でしたが、カナダ海軍での運用においてはその能力が省略されている点も注目されます。具体的な艦について見ていくと、「シクーティミ」は、2004年10月5日にアイルランド沖で火災に見舞われ、航行不能となる事態が発生しました。この事故により1名の犠牲者が生じ、長期的な修理が必要となりました。「ヴィクトリア」と「コーナー・ブルック」の復帰には2012年以降まで時間がかかる見通しです。

また、「ウィンザー」は、2005年10月30日に潜航中に火災が発生したことがありますが、その当時、カナダ海軍で唯一運用可能な潜水艦であったため、非常に重要な役割を果たしていました。

まとめ

アップホルダー級潜水艦は、イギリス海軍からカナダ海軍への移行を経て、異なる運用環境の中でその役割を変えながら、今もなお潜水艦戦術において重要な存在となっています。これからもその動向に注目が集まることでしょう。

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