アデレード市街地コース

アデレード・ストリート・サーキット

アデレード・ストリート・サーキット（Adelaide Street Circuit）は、オーストラリア南部の都市アデレードに位置する公道を利用したサーキットです。このコースは1985年から1995年まで、F1オーストラリアGPの舞台として使用されました。その独特な市街地コースは、競技者たちに刺激的なレース体験を提供していました。

コース概要

サーキットは主にヴィクトリア公園を中心にレイアウトされており、周囲の都市の通りを含んでいます。当初、ヴィクトリア公園には競馬場が設けられており、サーキットのコントロールラインやピット、パドックは、その内馬場に特別に設計されました。しかし、2008年にアデレード市議会が競馬場の改修案を否決したことから、競馬場はモーフェットビルへと移転しました。

そのコースアプローチは、ヴィクトリア公園内の常設コースからスタートし、第1シケインを超えると一般道に入ります。その後、イースト・テラスを進み、ライミル公園と第15公園の間を通過するバーテルズ・ロードに入ります。さらに、ブラバムストレート（A21号線）を利用し、ラウンドアバウトを抜けてウェイクフィールド・ロードに戻ります。コースは滑らかなS字を経て、最終ヘアピンカーブで締めくくられ、これを1周として数えます。

このサーキットは、当初F1やALMS（アメリカン・ルマン・シリーズ）が行われるグランプリコースとしても名を知られていました。グランプリコースは、ライミル公園のほとりから出発して進むコースで、過去には数々の名レースを生み出しました。コース特有のオーバーテイクが可能な設計により、特に観客から人気を集めましたが、1996年からオーストラリアGPはメルボルンのアルバートパークに移転しました。

現在は、V8スーパーカーシリーズのアデレード500が当地で開催されており、サーキットは新たなモータースポーツイベントの舞台として活用されています。

特筆すべきレース

アデレードでのレースでは、数々の歴史的な瞬間が生まれました。1986年のレースでは、ナイジェル・マンセルがタイヤのバーストによりリタイアした結果、アラン・プロストが逆転でチャンピオンに輝きました。1989年には、豪雨の中で行われたレースで、中嶋悟がファステストラップを記録し、4位に入賞するという素晴らしいパフォーマンスを見せました。

1990年にはネルソン・ピケがマンセルとの激しいバトルの末、勝利を収めました。このレースは歴史的なライバルの対決として記憶に残っています。1991年のレースは豪雨に見舞われ、わずか24分で終わった史上最短のグランプリとなりました。

1992年には、マクラーレンのゲルハルト・ベルガーが優勝し、ホンダにとっては最後の勝利となりました。1993年のレースでは、アイルトン・セナとアラン・プロストの和解の握手が印象的でした。

さらに、1994年のレースでは、ミハエル・シューマッハとデイモン・ヒルの激しいチャンピオン争いが繰り広げられ、両者の接触によりシューマッハが初のチャンピオンに輝くこととなりました。1995年には、ヒルが圧倒的な強さで優勝し、2位以下を2周遅れにするというF1史上唯一の記録を達成しました。

アデレード・ストリート・サーキットは、その魅力的なコースレイアウトと歴史的なレースにより、モータースポーツファンの間で愛され続けています。

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