中嶋悟

中嶋悟（なかじま さとる）

中嶋悟は、1953年2月23日に愛知県岡崎市で生まれた元レーシングドライバーであり、日本人初のフルタイムF1ドライバーとして名を馳せた人物である。彼は中嶋企画の代表取締役社長も務めており、モータースポーツ界での功績を通じて日本のレーシングシーンに多大な貢献をしてきた。

生い立ち

中嶋は家族の中で最も若い子供として生まれ、その家系は300年続く農家である。父親は軍人だったが、兄たちの戦死を受けて農業に従事することになった。岡崎市立の幼稚園や小学校から中学校を経て、名城大学附属高校に進学した。

レースキャリアの始まり

高校在学中、彼はレーシングカートに乗り始め、アルバイトをしながらレース活動を続けた。1973年、鈴鹿シルバーカップで3位入賞を果たし、レースデビューを果たす。1975年にはFL500のシリーズチャンピオンを獲得するも、資金不足で困窮していた。

中嶋は1976年、鈴鹿サーキットでのビッグジョントロフィーに出場し、そこで目立つ活躍を見せたことが転機となった。エンジンチューナーの松浦賢から推薦を受け、ヒーローズレーシングに加入することが決まった。この年は複数のカテゴリーで参戦し、注目を集める。

ステップアップと成功

1977年にはFJ1300やF2000などにフル参戦し、特にFJ1300では圧倒的な強さでチャンピオンを獲得。1978年には全日本F2にも参戦し、鈴鹿F2選手権ではチャンピオンに輝いた。これを受けてヨーロッパへの進出を目指すことになる。

1980年代に入り、ホンダエンジンを搭載したマシンに乗ることでさらなる成長を遂げ、1981年には全日本F2選手権でチャンピオンとなった。その後も安定した成績を残し、1986年にはホンダのサポートのもとで国際F3000に参戦するようになる。

F1への挑戦

1987年、34歳でF1デビューを果たし、名門チームのロータス・ホンダから出場。この年は主にアイルトン・セナと共にF1ブームを巻き起こした。彼は80回レースに出場し、最高位は4位と、F1での記録を残した。特に、雨でのコンディションに強く、「雨の中嶋」として知られるようになった。

引退後の活動

1991年にF1を引退した後は、自らのレーシングチーム「ナカジマレーシング」を設立し、若手ドライバーの育成に力を入れた。また、鈴鹿サーキットレーシングスクールの校長も務め、多くの将来有望な選手を送り出している。2004年には日本レースプロモーション（JRP）の会長に就任し、モータースポーツの発展に寄与した。

私生活と遺産

中嶋は妻と二人の息子を持ち、二人ともレーシングドライバーとして活動した。音楽にも興味があり、1990年には歌手デビューしたこともある。現在でもレース界への貢献を続けており、往年の技術や経験を後進に伝えている。中嶋悟は、日本のモータースポーツ史において欠かせない存在として語り継がれるだろう。

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