アトランタ交響楽団

アトランタ交響楽団

アメリカ合衆国ジョージア州の州都アトランタを本拠地とする、国内有数のオーケストラ。略称はASO (Atlanta Symphony Orchestra)。主要な活動拠点としているのは、ウッドラフ・アーツ・センター内に位置するアトランタ・シンフォニー・ホールである。

楽団の歴史は1945年に「アトランタ・ユース交響楽団」として初めて公の場で演奏を行ったことに始まる。創設間もない1947年には現在の「アトランタ交響楽団」へと名称を変更し、この時期から指揮者としてヘンリー・ソプキンが楽団の基礎を築き上げ、1966年までの長きにわたりその任にあたった。

楽団の歴史における最も重要な転換期の一つは、1967年にロバート・ショウが音楽監督に就任したことである。著名な合唱指揮者でもあったショウは、オーケストラの演奏水準を引き上げるだけでなく、1970年には付属の「アトランタ交響合唱団」を設立。これにより、アトランタ交響楽団はオーケストラと合唱団を一体とした活動を展開するようになり、特に宗教曲やオペラ、その他の大規模な声楽曲作品において、意欲的かつ質の高い演奏を数多く実現した。ショウ体制の下で楽団は録音活動も活発に行い、テラーク・レーベルからリリースされた数々の声楽曲録音は高く評価され、楽団の名声を確立する上で大きな役割を果たした。ロバート・ショウは1988年まで音楽監督を務め、その後1999年まで名誉音楽監督として楽団に貢献した。

ショウの後任として、1988年にはイスラエル出身の指揮者ヨエル・レヴィが音楽監督兼首席指揮者に就任した。レヴィ時代における特筆すべき出来事として、1996年にアトランタで開催された第26回オリンピック競技大会の開会式および閉会式において、楽団が演奏を担当したことが挙げられる。世界中の注目が集まる舞台で、レヴィ自身の指揮のもと、アトランタ交響楽団はその存在感を広く示した。レヴィは2000年まで音楽監督を務め、以降2005年まで名誉音楽監督の地位にあった。

2001年からは、アメリカ出身の指揮者ロバート・スパーノが音楽監督を引き継いだ。スパーノは20年間にわたり楽団を率い、幅広いレパートリーに取り組み、楽団の芸術性を維持・発展させた。彼は2021年シーズン終了をもって音楽監督を退任し、新たに桂冠音楽監督の称号を得た。

そして、2022年からはフランス出身の指揮者ナタリー・シュトゥッツマンが新たな音楽監督として就任し、現在に至るまで楽団の指揮を執っている。シュトゥッツマンは、世界的に著名なアルト歌手としても知られており、彼女の就任はアトランタ交響楽団の新たな時代を告げるものである。

楽団は前述の通り、特にロバート・ショウ時代に録音活動を積極的に展開した。テラーク・レーベルからは、ショウ指揮によるバッハのミサ曲 ロ短調、ヘンデルのメサイア、モーツァルトのレクイエムなどの声楽曲や、ヨエル・レヴィ指揮による作品、そしてロバート・スパーノ時代にはオルフの『カルミナ・ブラーナ』（ポール・ラニクルズ指揮）など、多岐にわたる録音がリリースされており、楽団の高い演奏能力と合唱団との連携の強さが示されている。

アトランタ交響楽団は、その長い歴史の中で、歴代の優れた指揮者たち、すなわちヘンリー・ソプキン（1945-1966）、ロバート・ショウ（1967-1988）、ヨエル・レヴィ（1988-2000）、ロバート・スパーノ（2001-2021）、そして現在のナタリー・シュトゥッツマン（2022-）によって導かれてきた。アメリカ南部を代表するオーケストラとして、地域社会における文化芸術振興の中心的な役割を担いながら、国内外での評価を着実に高めている。本拠地であるアトランタ・シンフォニー・ホールでの定期公演を中心に、活発な演奏活動を継続している。

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