アトランティック・コンベアー

アトランティック・コンベアー（初代）

アトランティック・コンベアー（SS Atlantic Conveyor）は、アトランティック・コンテナ・ライン（ACL）が運航していたROROコンテナ船です。1970年に竣工し、1982年のフォークランド紛争で徴用され戦没しました。

概要

ACLが1969年～1970年に6隻建造したG2級コンテナ船の1隻で、1970年にイギリスのスワン・ハンター社で竣工しました。欧州～北米間の大西洋航路に就航し、船尾ランプを用いたRORO荷役や車両搭載も可能でした。船主はキュナード・ラインです。

G2級6隻のうち、キュナード・ライン所有でスワン・ハンター社建造船は本船と「アトランティック・コーズウェイ（Atlantic Causeway）」の2隻のみでした。残りの4隻は他船社の所有で、建造所も異なっていました。

フォークランド紛争での徴用と沈没

1982年に勃発したフォークランド紛争において、アトランティック・コンベアーはアトランティック・コーズウェイと共にイギリス海軍に徴用され、航空機などを輸送する役割を担いました。

しかし、1982年5月25日、アルゼンチン海軍のシュペルエタンダール攻撃機がイギリス空母「ハーミーズ」を狙って発射したエグゾセミサイルが本船に命中し、大爆発が発生。乗員12名（商船員6名、海軍補助艦隊員3名、海兵隊員3名）が犠牲となりました。

深刻な損傷を受けた本船は、1982年5月30日に遂に沈没しました。輸送中だった航空機のうち、空母「ハーミーズ」に移送済みだったハリアーと、フリゲート艦「グラスゴー」への補給物資の移送を行っていた1機のチヌークHC.1「ブラヴォー・ノヴェンバー」は難を逃れました。しかし、前記の「ブラヴォー・ノヴェンバー」を除いた3機のチヌークHC.1や、6機のウェセックスなどのヘリコプターが本船と共に失われるという痛ましい結果となりました。

参考文献

渡辺逸郎『コンテナ船の話』成山堂書店、2006年 ISBN 978-4-425-71371-4
海洋協会『柳原良平編集 船の雑誌3 新しい海の王者コンテナ船』、1972年
海人社『世界の艦船』1982年8月号 No.310
海人社『世界の艦船』1983年5月号 No.321
海人社『世界の艦船』1988年3月号 No.390

外部リンク

SHIPSPOTTING.COM「ATLANTIC CONVEYOR - IMO 6926036」

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