アトリエ (アルバム)

『アトリエ』

『アトリエ』は、シンガーソングライター山崎まさよしが2003年6月25日にユニバーサルミュージックからリリースした、通算6作目にあたるオリジナルアルバムです。

前作『transition』からおよそ2年の期間を経て届けられた本作は、過去のセルフプロデュース作品の流れを受け継ぐ形で、山崎自身が全ての工程を手がけた完全セルフプロデュース作品となっています。作詞、作曲、編曲、そして全ての楽器演奏まで、文字通り山崎まさよし一人によって行われました。「ひとり」という揺るぎないテーマのもと、レコーディングスタジオに約半年間文字通り一人で籠り制作されたのです。そのためか、歌詞には「独りであること」や「孤独感」といった内省的な雰囲気が色濃く反映されている点が大きな特徴となっています。

アルバムタイトルの由来は、制作の初期段階で「アトリエ」という楽曲が生まれ、それを受けてスタッフが「じゃあ『アトリエ』でどうか」と提案したことによるとされています。また、アートワークにもそのコンセプトが反映されており、先行シングル『未完成』の初回盤CDジャケットでは、アトリエを思わせるスタジオで山崎本人がスケッチをする姿が撮影されました。本作のアルバムジャケットに描かれた自画像も、山崎本人が描いたものです。

初回盤には、歌詞カードとほぼ同サイズの写真入り絵葉書や、セルフ・ポートレイトの応募ハガキが封入されており、CDケースも通常のものより厚みのある仕様でした。購入特典として、店舗によっては店頭でポストカードがプレゼントされることもありました。

発売から数年後の2007年12月19日には、ボックス仕様のアナログ盤としてもリリースされています。

楽曲解説（一部）

君とピクニック: 「橋の上のロールスロイス」「サプリメントのマッスル」など、一見すると意味の繋がりがないような単語が並べられた歌詞が特徴的です。
未完成: 本作に先駆けて16枚目のシングルとしてリリースされた楽曲です。アルバムに収録された全曲の中で、唯一英語のフレーズが歌われています。
レイトショウへようこそ: 後に、2010年2月28日に神戸のライブハウスWYNTERLANDで行われたライブのテイクが、26枚目のシングル『HOBO Walking』のカップリング曲として収録されています。
僕と不良と校庭で: 17枚目のシングルとしてリリースされた楽曲です。タイトルのインスピレーションは、ポール・サイモンの楽曲「僕とフリオと校庭で」から得られています。山崎自身の学生時代の思い出も少なからず込められているとのことです。
Doubt! / Corridor: 「Doubt!」の終わりに続く形で流れるピアノインストゥルメンタル曲が「Corridor」です。この2曲は連続して再生されるように作られており、曲間をつなぐ「回廊（Corridor）」という意味合いが込められています。そのため、CDのトラックリストでは1トラックとして扱われない仕様となっています。
サマエルの記憶: 耽美的な表現が多く用いられた歌詞が特徴的な楽曲です。タイトルの「サマエル」とは、旧約聖書に登場するとされる堕天使の名前を指しています。「天使の記憶」というタイトル案もあったそうですが、アイドルソングのようだと感じ変更したといいます。
最後の海: 17枚目のシングル『僕と不良と校庭で』のカップリング曲として収録されていた楽曲です。本作に収録された中で唯一の弾き語りによる演奏となっています。瀬戸内の海をイメージして作られたと語られています。
untitled: 詩的で抽象的な歌詞が印象的な楽曲です。山崎自身は、川をイメージしながら制作したと述べています。
全部、君だった。-Album Version-: 15枚目のシングルとしてリリースされた楽曲のアルバムバージョンです。タイトルの「、」と「。」は、読み間違えを防ぐために付けられています。シングルバージョンと比較して、後奏が長くなっています。

関連作品

本作に収録された楽曲が、以下のベストアルバムに収録されています。

『BLUE PERIOD』：「未完成」「僕と不良と校庭で」「全部、君だった。」を収録。
* 『The Road to YAMAZAKI 〜the BEST for beginners〜』：「最後の海」を収録。


（本解説は、提供された情報を基に構成されています。）

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