アトリエ彩

アトリエ彩：模型と3DCGの架け橋となったフィギュアメーカー

株式会社アトリエ彩（ATERIER SAI CO.,LTD）は、かつて存在した日本のフィギュアメーカーであり、ガレージキットの開発、3DCGの製作を手がけていました。模型業界において独自の存在感を示した企業です。

概要

アトリエ彩は、元々プロモデラーの藤川明日香氏が主宰するガレージキットの原型製作スタジオとしてスタートしました。その後、JAF-CONなどで活躍していたプロモデラー原口高陽氏が主宰するG.O.N.G.と1996年11月に合流し、アトリエ彩として新たなスタートを切りました。興味深いことに、アトリエ彩は元々G.O.N.G.の別ユニットであったことが、月刊ホビージャパン1997年1月号のホビージャパンライター列伝で原口氏によって語られています。

アトリエ彩は、マスターグレードゲルググの試作モデルを担当したり、月刊ホビージャパンで連載された『勇者王ガオガイガー』の長編小説『獅子の女王＜リオン・レーヌ＞』と連動した勇者ロボットの作例を製作するなど、精力的な造形活動を展開しました。また、直営の模型店を経営する傍ら、3DCGモデルの製作にも力を入れていました。

3DCGモデルの分野では、ドリームキャストソフトのサンライズ英雄譚に登場するエアリーズが、ホビージャパンに掲載された模型作例を取り込んで作られたCGであることが、ホビージャパン1999年9月号で藤川氏によって語られています。これは当時としては画期的な試みであり、模型と3DCGの両方を手がける企業ならではの作業だったと言えるでしょう。アトリエ彩は、早い段階から模型とデジタル技術の融合に挑戦していた企業だったと言えます。

その後、アトリエ彩はガレージキットだけでなく、本格的な射出成型によるビックバイパーのキットなど、プラスチックモデルの開発にも着手しました。これにより、より幅広い層の模型ファンに製品を提供することが可能となりました。

しかし、2013年4月17日午後5時、アトリエ彩は東京地方裁判所へ申し立てられていた破産手続が開始され、倒産という形で幕を閉じることになりました。負債総額は約4億円に上り、展開されていた店舗は全て閉店となりました。模型業界に独自の足跡を残したアトリエ彩の倒産は、多くのファンに衝撃を与えました。

アトリエ彩は、ガレージキットから3DCG、そしてプラスチックモデルへと、時代の変化に対応しながら事業を拡大していきましたが、残念ながら時代の荒波に飲まれてしまいました。しかし、同社が残した功績、特に模型と3DCGの融合への取り組みは、今日の模型業界に大きな影響を与えていると言えるでしょう。

外部リンク

アトリエ彩
倒産情報公告資料室

もう一度検索