アドルフ2世 (シャウムブルク＝リッペ侯)

アドルフ2世 (シャウムブルク＝リッペ侯)

アドルフ2世（Adolf II. Fürst zu Schaumburg-Lippe, 1883年2月23日 - 1936年3月26日）は、ドイツのシャウムブルク＝リッペ侯でした。1911年から1918年まで侯位にあり、その短い治世の中でバート・アイルゼンの開発に尽力しました。

生涯

アドルフ2世は、シャウムブルク＝リッペ侯ゲオルクと、その妻であるザクセン＝アルテンブルク公子モーリッツの娘マリア・アンナの長男として生まれました。1911年に父の後を継いで侯位に就きましたが、第一次世界大戦後の1918年11月15日、ドイツ革命の最中に退位しました。これにより、シャウムブルク＝リッペ家は統治者の地位を失いました。

即位後、アドルフ2世は侯国内で大規模な建設事業を開始しました。まず、ビュッケブルクにシャウムブルク＝リッペ侯爵家霊廟を建設しました。続いて、同じくビュッケブルクに侯爵家立美術工芸学校（後の侯爵アドルフ陶磁器工房）や侯爵家立音楽学校（後の国防軍軍楽学校）を創設しました。この音楽学校からは、後に有名な音楽家となるジェームス・ラストが輩出されました。しかし、ビュッケブルクにおける建築事業計画は、第一次世界大戦の勃発によって中止されました。

一方、ビュッケブルク郊外のバート・アイルゼンの温泉療養地開発事業は、第一次世界大戦中に開始されました。現在も存在する同地の主要な建造物は、全て1920年代初頭までに完成しており、「狂騒の20年代」において、バート・アイルゼンは王侯貴族のための保養地として名声を高めました。

1920年1月10日、アドルフ2世はベルリンにおいて、女優のエリーザベト・フランツィスカ（エレン）・ビショフ＝コルトハウスと結婚しました。この結婚は、系図学者のシュテファン・ケクレの仲介によって成立しました。侯爵夫妻には子供はいませんでした。

夫妻は、ブリユニの別荘やプラッハ・イム・イーザルタールのヴィラ・シャウムブルクで暮らしました。しかし、1934年6月11日、アドルフ2世はゲシュタポの家宅捜索を受けました。これは、スペインやイタリアで活動していたゲシュタポ諜報部員クルト・フォン・ベーアの密告によるものでした。

1936年3月26日、アドルフ2世と妻エレンが乗った飛行機が、メキシコのポポカテペトル山近くで墜落事故を起こし、夫妻は共に亡くなりました。侯爵家の家督は、アドルフ2世のすぐ下の弟ヴォルラートが相続しました。ヨーゼフ・ゲッベルスの副官を務めていた弟のフリードリヒ・クリスティアンは、侯爵夫妻の埋葬の際、義姉のエレンが「アーリア人の出自」ではないとして、彼女を侯爵家霊廟に葬ることに反対しました。

アドルフ2世は、その短い治世の中で、シャウムブルク＝リッペ侯国の発展に大きく貢献しました。特に、バート・アイルゼンの開発は、彼の功績として特筆されるでしょう。また、文化・芸術の振興にも力を注ぎ、侯爵家立美術工芸学校や侯爵家立音楽学校の創設は、後の芸術家育成に大きな役割を果たしました。しかし、その生涯は、第一次世界大戦やナチス・ドイツの台頭といった激動の時代に翻弄され、悲劇的な事故によって幕を閉じました。

参考文献

Alexander vom Hofe: Vier Prinzen zu Schaumburg-Lippe und das parallele Unrechtssystem, Vierprinzen S.L., Madrid 2006, ISBN 84-609-8523-7 (Online-Version)
Wilhelm Gerntrup: Das Mausoleum im Schlosspark. Fürst Adolf II. zu Schaumburg-Lippe und das Mausoleum in Bückeburg, Merlin Verlag, Gifkendorf 2010, ISBN 978-3-87536-284-8

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