アナトー

アナトーとは

アナトーは、ベニノキの種子から得られる色素で、その鮮やかな色合いから、食品や化粧品の着色料として広く利用されています。しばしば「アナトー色素」とも呼ばれます。この色素は、カロテノイドの一種であり、主にビキシンやノルビキシンという化合物から構成されています。

構造と性質

アナトーは、化学的にはカロテノイド系色素に分類されます。これは、分子内に光を吸収する共役二重結合を持つことに由来します。主な成分であるビキシンは、本来は脂溶性ですが、化学的な処理によって水溶性にも変化させることができます。

ビキシンはエステル結合を持ち、塩基によって加水分解されるとカルボキシ基が現れ、水溶性が向上します。さらに、このカルボキシ基をナトリウムやカリウムなどの金属と結合させることで、水溶性が大幅に高まります。このようにして作られたものが、一般的に「水溶性アナトー」と呼ばれるものです。

製法

アナトーの抽出方法は、その目的によって異なります。脂溶性のアナトーを得るには、油脂などを使って種子から抽出します。一方、水溶性のアナトーを製造する場合は、水酸化ナトリウムなどの塩基性溶液を用いて抽出を行います。

用途と使用基準

食品添加物

アナトーは、食品添加物として黄色から赤色の着色料として利用されます。表示名は「アナトー」または「アナトー色素」です。長らく「水溶性アナトー色素」が使用されてきましたが、食品への使用には基準が設けられています。

具体的には、コンブ、海苔、ワカメ、食肉、クジラ肉、鮮魚介類、お茶、野菜、豆類への使用は禁止されています。日本においては、アナトーは「天然着色料」として分類されており、1991年7月以降は、天然・合成を問わず、着色料使用時の表示が義務付けられています。

化粧品

アナトーは、化粧品、特に口紅などの色素としても利用されています。

まとめ

アナトーは、ベニノキの種子由来の天然色素であり、多様な用途で活用されています。その特性を理解し、適切に使用することが重要です。特に食品添加物として使用する際には、法令で定められた基準を遵守する必要があります。

参考情報

* 横浜市衛生研究所 - 食品衛生情報: アナトー色素

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