アニー・ジラルド

アニー・ジラルド：フランス映画界の巨星、その生涯と作品

アニー・ジラルド（1931年10月25日 - 2011年2月28日）は、フランス・パリ出身の伝説的な女優です。本名はAnnie Suzanne Girardot。1954年、名門パリのフランス国立高等演劇学校（コンセルヴァトワール）を卒業後、コメディ・フランセーズの舞台に立ち、女優としてのキャリアをスタートさせました。

コメディ・フランセーズでは1957年まで活躍し、舞台活動と並行してテレビ、ラジオ、ナイトクラブなどでも才能を発揮。映画デビューは1955年で、当初は暗黒街の危険な女性といった役柄を多く演じていました。1956年にはシュザンヌ・ビアンケッティ賞を受賞し、若手女優として早くから注目を集めました。

しかし、ジラルドのキャリアに大きな転機が訪れたのは1960年、ルキノ・ヴィスコンティ監督の傑作『若者のすべて (Rocco e i suoi fratelli)』への出演でした。この作品で共演したレナート・サルヴァトーリと結婚し、生涯のパートナーとなりました。ヴィスコンティ作品への出演を機に、イタリア映画界にも進出し、マルコ・フェレーリ監督作品などにも出演。1960年代後半にはクロード・ルルーシュ監督作品にも出演するなど、フランス映画界の中核を担う存在となりました。

1970年代以降は、若い世代の女優の母親役などを演じることも多くなりました。イザベル・アジャーニなど、後のスター女優たちの母親役を演じることで、ベテラン女優としての存在感を示し続けました。しかし、コメディ・フランセーズでの経験を活かしたコメディ映画にも数多く出演し、幅広い演技力で観客を魅了しました。

ジラルドは数多くの映画作品に出演していますが、日本未公開の作品も多く存在します。彼女の演技力は高く評価されており、フランスのみならず、国際的に高い評価を得ていました。1965年には『マンハッタンの哀愁 (Trois chambres à Manhattan)』でヴェネツィア国際映画祭女優賞を受賞、さらにセザール賞最優秀女優賞(『Docteur Francoise Gailland』)やセザール賞助演女優賞(『レ・ミゼラブル』『ピアニスト』)など、数々の賞に輝きました。

私生活では、長年連れ添った夫レナート・サルヴァトーリと死別。晩年はアルツハイマー病と闘い、2011年2月28日、パリの病院で79歳の人生に幕を閉じました。

彼女のフィルモグラフィは多岐に渡り、代表作として『殺人鬼に罠をかけろ (Maigret tend un piège)』、『悪徳の栄え (Le Vice et la vertu)』、『悪い女 (Le Crime ne paie pas)』、『いっちょう頂き (La bonne soupe)』、『パリのめぐり逢い (Vivre pour vivre)』、『ル・ジタン (Le Gitan)』、『暗殺の報酬 (Adieu blaireau)』、『メルシー・ラ・ヴィ (Merci la vie)』、『レ・ミゼラブル (Les Misérables)』、『ピアニスト (La Pianiste)』、『隠された記憶 (Caché)』など、数多くの名作に出演しています。また、1965年には日本のテレビ番組『スター千一夜』にも出演しており、国際的な活動も展開していました。

アニー・ジラルドは、フランス映画史に燦然と輝く、まさに巨星でした。彼女が残した数々の名作は、これからも多くの人々に感動と感銘を与え続けることでしょう。彼女の功績は、後世に語り継がれるべきものです。

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