アネロイド気圧計

アネロイド気圧計は、内部を真空にした金属製の円板状容器（空盒）が、外部の気圧変化によって膨張・収縮する原理を利用した気圧計です。この変形を針の動きに変換することで、気圧を読み取ります。その構造から「空盒気圧計」とも呼ばれます。

指針式の気圧計として広く普及しており、その理由は、小型で持ち運びが容易である点にあります。しかし、温度変化による影響を受けやすく、精密な測定には適していません。このため、アネロイド気圧計は日常的な気圧の変化を把握するのに適しています。

アネロイド気圧計の応用例として、高度計があります。気圧は高度によって変化するため、気圧の変化を高度に換算することで、高度を測定できます。また、空盒を複数重ねて針の動きを大きくし、時計仕掛けで回転する円筒紙にペンで気圧を記録する自動アネロイド気圧計も存在します。これは気圧の変化を連続的に記録するのに便利です。

歴史的な応用例としては、太平洋戦争中に日本軍が開発した風船爆弾があります。この爆弾には、アネロイド気圧計の原理を応用した高度保持装置が搭載されており、ジェット気流に乗せてアメリカ本土を攻撃するために利用されました。また、第二次世界大戦中には、ドイツ軍が開発したV1飛行爆弾にも、アネロイド気圧計の原理を応用した誘導・制御装置が採用されています。これらの事例から、アネロイド気圧計の原理が、軍事技術にも応用されていたことがわかります。

アネロイド気圧計は、その構造や原理から、高度計や風船爆弾、V1飛行爆弾など、多様な分野で利用されています。その使いやすさと携帯性から、現在でも多くの場所で活用されており、私たちの生活や科学技術の発展に貢献しています。

関連項目

水銀気圧計

外部リンク

アネロイド気圧計 - コトバンク

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