アバランシェダイオード

アバランシェダイオードとは

アバランシェダイオード（英語：avalanche breakdown diode、略称：ABD）は、特定の逆電圧においてアバランシェ降伏が発生することを利用して設計されたダイオードの一種です。このダイオードは通常、シリコンで作られますが、その他の半導体材料でも製造されることがあります。アバランシェ降伏は、逆バイアスにおいて一定の電圧を超えると発生し、それによってきわめて高い精度の電圧リファレンスとして機能します。

アバランシェダイオードはその動作原理において、似た目的を持つツェナーダイオードとは異なります。ツェナーダイオードはツェナー降伏に基づく動作を行い、通常数十ボルトの範囲で運用されますが、アバランシェダイオードは4000ボルトを超える高い降伏電圧を持つものも多く存在します。したがって、アバランシェダイオードには広範な用途と特性が求められます。

主な特徴

アバランシェダイオードは、特にマイクロ波およびミリ波の領域において発振や増幅が可能です。これにより、さまざまな通信技術や高頻度の電子デバイスにおいて重要な役割を果たします。しかし、このダイオードはノイズを多く発生する特性を持ち、特に10GHz以上の周波数帯域で高出力を得ることができる一方で、相応の熱損失も伴います。

用途

保護機能

アバランシェダイオードの最も一般的な利用方法は、電子回路における過電圧保護です。この目的のため、通例としてダイオードは逆バイアスで接続されます。具体的には、カソードをアノードから見て正電圧となるように配置され、通常ダイオードは伝導状態にはなりません。しかし、電圧が設計された上限を超えると、アバランシェ降伏により過剰電圧がアースに導通されます。このようにして電圧を予め設定された最大値に保つことから、アバランシェダイオードは「クランパーダイオード」としても知られています。

アバランシェダイオードの定格は、クランプ電圧VBRや一過的に吸収できるエネルギー量（ジュール）によって表されます。また、アバランシェ降伏は過熱が発生しない限り破壊的ではないため、安全に使用できます。

RFノイズ生成

アバランシェダイオードは、RF（ラジオ周波数）ノイズを生成する特性を持っており、そのためラジオ装置のノイズ源としても使用されます。たとえば、アンテナアナライザやブリッジ回路用RF源として広く利用され、ことにホワイトノイズ生成器としての応用が挙げられます。

結論

アバランシェダイオードは高電圧での動作が可能で、電圧リファレンスや過電圧保護、さらにはノイズ生成に至るまで、多岐にわたる用途に利用されています。その特性から、通信や電子回路の分野で重要な部品として重宝されています。

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