アビトゥーア

アビトゥーアの概要

アビトゥーア（ドイツ語: Abitur）は、ドイツ語圏における大学進学資格試験を指します。この言葉は、ラテン語の「examen abiturium」に由来しており、「試験」と「去ること」を組み合わせた形で、卒業試験を意味しています。この試験はドイツやフィンランドで実施されており、国内及びヨーロッパ全体での大学進学を目的とした認定試験として非常に重要です。アビトゥーアに合格すると、通常、高等教育機関に進学する資格を得ることができます。

試験の実施と内容

ドイツにおけるアビトゥーアは、主にギムナジウムの生徒が受ける卒業試験として位置付けられています。生徒は第12学年または一部の州では第13学年で、この試験を受けることができ、合格することでアビツォイグニスという資格証書が授与されます。アビトゥーア試験は全国統一で行われますが、各州で試験の難易度や内容が異なる場合があるため、特定の州では試験の合格が難しいこともあります。

試験科目は最低6科目から最高12科目まで選択でき、それぞれの科目に対して15点満点が設定されています。一般に、6科目を受験する際には、5つの筆記試験と1つの口頭試験が求められます。必須科目を除いては、生徒が自由に科目を選択できますが、進学を希望する大学の条件を考慮する必要があります。例えば、医[[学部]]を志望する学生は、生物学や化学を受ける必要があります。これらの点は、大学によって異なる入学基準が存在するため、志望分野を選ぶ際に十分な注意が求められます。

アビツォイグニスとその重要性

アビトゥーアに合格することで得られる「アビツォイグニス」は、生徒の大学進学において極めて重要な証書です。この資格証書に付与される点数は、最高点1.0から最低点4.0までの範囲で評価されます。「アビツォイグニスの点数」は、受験した必須科目と選択科目の成績を基に計算され、最終的には各科目の修得単位数と成績を合算することで算出されます。大学入学を希望する際には、このアビツォイグニスを提出し、大学側が設けた入学許可基準に基づいて選別されます。

この点数はまた、就職活動にも重要な役割を果たします。大学進学を選択しなかった生徒にとっても、就職選考において評価されることが多いため、アビツォイグニスの点数はキャリア形成においても欠かせない要素となります。各大学や学部によっては、平均点や待機期間を考慮した独自の選考プロセスが導入されることもあります。

日本におけるアビトゥーアの位置付け

1995年、日本の大学入学資格にアビトゥーアの資格を持つ者が追加され、2019年には18歳の年齢制限が撤廃されました。これにより、アビトゥーア資格を有する学生が日本の大学への進学が可能となっています。

その他の国々における類似制度

アビトゥーアに類似した制度は、オーストリアやスイスにおける「マトゥーラ」、フィンランドにおける同様の試験が存在します。さらに、フランス語圏では、リセ生徒が受けるバカロレアがアビトゥーアに相当する試験とされており、各国における大学進学に向けた試験制度があることが確認できます。

アビトゥーアは、ドイツ語圏だけでなく、ヨーロッパ全体における高等教育へのアクセスを確保するための重要な制度であり、今後もその意義は変わることなく続いていくでしょう。

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