アフリカ民族会議

アフリカ民族会議（ANC）

アフリカ民族会議（African National Congress, ANC）は、南アフリカ共和国における主要な政党であり、アフリカ系住民の権利を守るために設立された歴史的な組織です。その活動は、アパルトヘイトという人種的抑圧の体制に対抗するものであり、多くの人々にとって自由と平等の象徴となりました。現在、党の議長はシリル・ラマポーザが務めています。

誕生と歴史

ANCは、1912年に南アフリカ先住民民族会議（SANNC）として設立されました。この時期、南アフリカの原住民の権利を保護するために、主に都市に住む知識層が中心になり、初期には非暴力的な抵抗運動を行いました。政党名の変更は1923年に行われ、マハトマ・ガンディーの非暴力主義から影響を受けた活動が引き継がれました。

1948年には、アパルトヘイト政策を強化する南アフリカ国民党に対抗し、ANCはより積極的な武力闘争の路線にシフトしました。特に、1960年のシャープビル虐殺事件をきっかけに、武装部門「ウムコントゥ・ウェ・シズウェ（民族の槍）」が設立され、以降は都市部でのゲリラ戦活動を展開しました。これによりANCは、国内外での反アパルトヘイト運動の中心的存在となりました。

民主的な転換と政治の実績

1994年5月、アフリカ民族会議は初の全人種参加選挙で圧倒的な支持を得て、第一党として政権を獲得しました。この選挙では黒人票の90%を獲得したものの、単独で憲法を制定するには至りませんでした。しかし、その結果としてネルソン・マンデラが大統領に選出され、彼は民族和解と社会協調を推進し、白人と黒人の対立を和らげ、不平等を是正する努力を続けました。

12年の間に、ANCは南アフリカの政治において絶対的な存在感を発揮し続けましたが、長期政権化に伴う腐敗や、アパルトヘイト時代を経験しない世代の若者からの支持を失う事態が進行しました。特に、2024年5月29日の総選挙でANCは初めて過半数を下回り、400議席中159議席にとどまりました。

複雑な政治状況

この選挙の結果、ANCは白人主体の民主同盟（DA）との連立政権を結成することとなり、政党間の協力が不可欠な状況となりました。これは南アフリカの政治構造において大きな転換点であり、ANCの未来を見守る上で重要な意味を持つイベントといえるでしょう。

社会主義との関係

興味深いことに、ANCは組織内に南アフリカ共産党を含むものの、国際的には中道左派や社会民主主義政党としての立ち位置を確保しています。ANCの党名は、インド国民会議の影響を受けており、アフリカにおけるナショナリズムの象徴ともなっています。今後も、アフリカ民族会議がどのような政策を展開し、南アフリカの未来にどのように貢献していくのか注目されます。

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