アブアンペア

アブ[アンペア]は、[電流]]を表す単位です。CGS電磁単位系]という[[単位系において基本単位の一つとして位置付けられていますが、その歴史を紐解くと興味深い事実が見えてきます。

そもそも、アブアンペアは当初、固有の名称を持っていませんでした。他の多くの物理量と同様に、emu（電磁単位）という表記で表現されていたのです。では、このemuで表される電流とは、具体的にどのようなものであるのでしょうか？

1emuの電流とは、「真空中において、1センチメートルの間隔で同じ大きさの電流を2本流した際に、それらの間に働く力が1センチメートルあたり2ダインとなる電流」と定義されています。これは、電流の大きさを力の大きさから定義しようとした、いわば「絶対単位」の考え方です。

しかし、この絶対単位は数値が大きくなり扱いにくいという欠点がありました。そこで、実用性を考慮して「実用単位」として、絶対単位の1/10の大きさを持ち、より扱いやすい単位が導入されました。それが、私たちがよく知るアンペアです。

アブアンペアという名称は、後になって付け加えられたものです。「absolute unit（絶対単位）」に由来しており、アンペアに対応する絶対単位という意味合いを持っています。さらに、CGS電磁単位系を拡張した一般化CGS電磁単位系では、フランスの物理学者ジャン＝バティスト・ビオにちなんで「ビオ(biot, 記号: Bi)」という名称も用いられています。

現在、国際[単位系]では、アンペアが基本単位として採用されています。SI単位系におけるアンペアの定義は、アブアンペアを元にして再定義されているため、一見不自然に見える値（例えば、2×10⁻⁷Nなど）が使われています。これは、SI単位系において、アンペアの大きさを従来の実用単位と変わらずに維持するために必要な措置なのです。

アブアンペアは、CGS電磁単位系の基本単位、およびそこから組み立てられる組立単位と組み合わせて、様々な物理量の単位を導き出すことができます。例えば、磁束密度や磁場の強さなどを表す単位を計算する際に、アブアンペアが重要な役割を果たします。これらの単位は、CGS電磁単位系を用いた物理計算において不可欠な要素となります。

このように、アブアンペアは、電流の単位としての歴史的経緯や、他の単位系との関係性を知る上で、非常に重要な概念です。一見、複雑に見えるかもしれませんが、その背景にある物理学的な考え方を理解することで、より深く電流や磁気現象について理解を深めることができるでしょう。

もう一度検索