アブドゥッラフマーン・ハーン

アブドゥッラフマーン・ハーンの生涯と治世

アブドゥッラフマーン・ハーン（1844年 - 1901年）は、アフガニスタンの首長として1880年から1901年まで在位しました。彼は先代のムハンマド・アフザル・ハーンの息子でありながら、権力を巡る激しい闘争に身を投じることとなります。

前半生と亡命

アブドゥッラフマーンは、若い頃から叔父や一族との力のバランスに翻弄されていました。特に、叔父シール・アリー・ハーンとの対立や、同族の争いにより、父を支えるも敗北し、1870年から1879年の間に亡命を余儀なくされました。亡命先のタシケントでは、トルキスタン総督府の保護の下で生活していました。しかし、第二次アフガン戦争の影響によって彼の運命は大きく変わります。

シール・アリー・ハーンが亡くなり、その後を継ぐムハンマド・ヤアクーブ・ハーンも王位を放棄してインドへ逃げたことで、アブドゥッラフマーンは1880年に帰国します。彼は再びアフガニスタンの政治シーンに登場し、権力を握るチャンスを得ました。

アミールとしての地位確立

帰国後のアブドゥッラフマーンは、反英勢力の有力な指導者と見なされていましたが、イギリスの戦費負担や政策変更により状況が変化しました。彼は、ヤアクーブ・ハーンとの間に交わされたガンダマク条約を受け入れることを条件に、イギリスから国王（アミール）としての地位を承認されます。しかし、旧来の権力者であるアイユーブ・ハーンがこの状況を快く思わず、挙兵を決意します。

アブドゥッラフマーンは、新政権を維持するために駐留イギリス軍の力を借りながらアイユーブ・ハーンに対抗します。マイワンドの戦いではアイユーブが勝利を収めますが、その後のカンダハルの戦いでは敗北し、アイユーブはペルシャに逃れざるを得ませんでした。1881年にはイギリス軍が撤退し、アブドゥッラフマーンの政権が確立されます。

内政と中央集権化

彼の治世においては、外交権が制限されたために内政に重きを置くことになります。特に中央集権化を進め、アフガニスタンの封建制度を打破し、国の経済発展を図ることを目指しました。しかし、その急速な近代化政策は広く抵抗を招き、特に古くからの慣習で税金を納めてきた地域からの反発が強まりました。アブドゥッラフマーンは、反対派に対して容赦のない対応を行い、さらにはアイユーブ・ハーンが再びアフガニスタンを脅かす動きに対して先手を打ち、ヘラートを攻略し、再度の逃亡を強いることに成功します。

弾圧とその影響

アブドゥッラフマーンの厳しい政策は、国内における強い弾圧をもたらしました。特にハザーラ人に対する過酷な扱いは名を知られることとなり、彼らの多くが奴隷として売られたり、亡命を余儀なくされました。このため、彼は“鉄のアミール”という異名を持つようになります。

とはいえ、彼の治世はアフガニスタンにとって重要な時期であり、彼の施策は後の国づくりに影響を与えました。その独裁的な側面と開明的な政策を合わせ持つ彼の存在は、アフガニスタンの歴史において複雑な評価を受けています。アブドゥッラフマーン・ハーンは、確固たるリーダーシップとともに、アフガニスタンの近代化に寄与した重要な歴史的人物と言えるでしょう。

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