アブハジアの行政区画

アブハジアの行政区画

アブハジアの行政区画は、国際的にはジョージアの一部と認識されながらも、事実上独立しているアブハジア共和国と、ジョージア政府が主張するアブハジア自治共和国という、二つの異なる視点から捉えることができます。ここでは、それぞれの行政区画とその変遷、現状について詳しく解説します。

アブハジア共和国による行政区画

アブハジア共和国は、7つの地区（ラヨン）に分かれており、各地区の名称は、その中心都市名に由来しています。これらの地区のうち、オチャムチラ、トゥワルチャル、ガル地区を除く4地区は、1991年まで存在したソビエト連邦グルジア共和国時代、および現在のジョージア政府が主張するアブハジア自治共和国の行政区画と同一です。特筆すべき点として、トゥワルチャル地区はアブハジア独立後の1995年に、オチャムチラ地区とガル地区の一部を分割して新設されました。

アブハジア共和国の人口統計は、アブハジア政府が実施した国勢調査に基づいており、これらのデータは、行政区画の現状を理解する上で重要な情報源となっています。

アブハジア共和国の7地区

ガグラ地区
グダウタ地区
スフミ地区
オチャムチラ地区
トゥワルチャル地区
ガル地区
グリルプシ地区

ジョージア政府による行政区画（アブハジア自治共和国）

一方、ジョージア政府は、アブハジア自治共和国を6つの地区で構成されると主張しています。しかし、1992年から1993年にかけて勃発したアブハジア紛争の結果、自治共和国政府はアブハジアから亡命を余儀なくされ、現在の行政区画はジョージア政府が名目的に設置しているに過ぎません。

紛争中、唯一アブハジア共和国軍の侵攻を免れた地域が、グルリプシ地区東部のコドリ渓谷でした。この地域は、アブハジアにおける唯一のジョージア政府の実効支配地域として残りました。2006年には、このコドリ渓谷に上アブハジアという自治共和国政府が設置されましたが、2008年の南オセチア紛争中にアブハジア軍がコドリ渓谷を攻撃し、結果的にこの地域もアブハジア共和国の支配下に入りました。

アブハジア自治共和国の6地区

ガグラ地区
グダウタ地区
スフミ地区
グルリプシ地区
オチャムチラ地区
* ガル地区

まとめ

アブハジアの行政区画は、アブハジア共和国とジョージア政府という二つの異なる主体によって主張されており、その実態は複雑です。アブハジア共和国は7つの地区を実効支配している一方、ジョージア政府はアブハジア自治共和国の6地区を名目的に主張しています。紛争によって行政区画は大きく変化し、コドリ渓谷のような例外的なケースも見られました。この複雑な状況は、アブハジアの政治的、地理的な背景を理解する上で不可欠です。

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