ラヨン

ラヨンとは

ラヨン（район）は、主に旧ソビエト連邦を構成していた国々で見られる行政区画です。その語源は、車輪の「輻」（スポーク）を意味するフランス語の「レヨン」（rayon）に由来し、放射状の「光線」を意味する英語のrayや円の「半径」を意味するradiusと同源です。

ロシア語では「ライオン」[rɐˈjɵn]と発音され、英語ではレーヨン（Rayon）との混同を避けるため、Raionと綴られます。日本語では、国や州の下位行政区画を「地区」、市の下位行政区画を「区」と訳すのが一般的です。

ソビエト連邦諸国におけるラヨン

ラヨンは、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ジョージア、ラトビア、モルドバ、ロシア連邦、ウクライナなど、かつてのソ連構成国で広く採用されていました。この制度は、1923年から1929年にかけてのソ連行政改革によって、帝政ロシア時代の郷（ヴォロスチ）と郡（ウイェースト）から移行したものです。

通常、ラヨンは国の二段階下の行政区画であり、以下のような行政区画の下位に位置づけられています。

ベラルーシ：州（вобласьць）の下位
ロシア連邦：州（オブラスチ）、地方（クライ）、自治共和国、自治州、大都市の下位
ソビエト連邦：ソビエト社会主義共和国（SSR）、州（オブラスチ）、地方（クライ）、共和国、大都市の下位
ウクライナ：州（オブラスチ）、大都市、クリミア[[自治共和国]]の下位

一般的に、ラヨンでは選挙によって地区ソヴィエト（райсовет）の評議員と首長が選出されます。

ロシア連邦におけるラヨン

ソビエト連邦崩壊後も、ラヨンの枠組みは多くの国で存続していますが、一部の国では独自の名称に変更されています。

カレリア共和国：地区（ラヨン）は、民族地区（национальные районы）や郷（волости）と同等の行政段階に位置付けられ、少数民族の多い地域に設置されています。
サハ共和国：ウルス（улус）という名称で呼ばれています。
* トゥヴァ共和国：コジューン（кожуун）という名称で呼ばれています。

ロシアの連邦市であるモスクワでは、モスクワ環状道路内にある10の行政区（オクルグ）の下位に地区（ラヨン）が置かれています。同様に、サンクトペテルブルクでは、18の区（ラヨン）の下位に地区（municipal okrug オクルグ）が設置されています。

ブルガリアにおけるラヨン

ブルガリアでも、都市部の行政区画としてラヨンが使用されています。

首都ソフィアは単一の州（オブラスト）であり、また単一の基礎自治体（オプシュティナ）でもありますが、その下位には24の区（ラヨン）が置かれています。

また、人口30万人を超えるプロヴディフとヴァルナという都市にも、それぞれ下位の区が設置されています。

まとめ

ラヨンは、旧ソ連諸国を中心に広く用いられた行政区画であり、地域ごとの特性や歴史的背景を反映した多様な形が見られます。その名称や位置づけは国や地域によって異なりますが、地方行政を担う重要な役割を果たしています。

脚注

関連項目：ロシア連邦の地方区分、オクルグ

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