アブハジア鉄道

アブハジア鉄道の概要と歴史

アブハジア鉄道はアブハジア地域において鉄道サービスを提供し、ロシア鉄道によって管理されています。全長101キロメートルのこの鉄道路線は、黒海沿岸に位置し、1,520ミリメートルの軌間で運行され、ロシアの北カフカース鉄道支社に接続しています。1992年までは、地域の紛争が深刻化する前にジョージア側にも接続されていましたが、その後鉄道網は分断されました。

現行の運行状況

2023年6月9日、ソチとガグラを結ぶ列車が新たに投入されたことにより、アブハジア鉄道は再び注目を浴びています。現在、モスクワとスフミを結ぶ長距離列車を運行しているほか、アドレルからガグラ間の近郊列車も運行されています。特に注目されるのは、2021年に再開された927/928号「ソチ」観光列車です。この列車は青と白の独特な塗装が施されており、70年代から80年代風の内装を誇ります。

この観光列車は、エアコンやバイオトイレ、220Vの電源コンセントに加え、USBポートを搭載しており利便性も高いです。乗客は食堂車で食事を楽しむことができ、車内の環境も快適とされています。運行にはVL10型直流電気機関車が使用されており、列車と同じ色合いの塗装が施されています。

歴史的な背景

アブハジア鉄道の歴史は、ソビエト連邦の解体後の混乱に影響を受けました。1992年にはジョージアとの鉄道連絡が断たれることとなり、その後もロシアとの列車運行は次第に困難になっていきました。特に1992年8月にイングリ川の橋梁が爆破されたことで、ジョージアとの鉄道連絡は完全に消失し、アブハジアの鉄道網は孤立することとなりました。

2002年、ソチからスフミ間の列車運行が再開されるも、これに対してジョージア政府からは反発の声が上がりました。それ以降、ロシアからの観光客の増加に伴い、プソウ川からスフミ間の線路が修復され、モスクワとスフミを結ぶ直通列車も再開されました。このように、地域の政治情勢に大きく左右されながらも、アブハジア鉄道は時折復活と運行の停止を繰り返してきた歴史を有しています。

運行状況の展望

2016年には、モスクワとスフミ間を結ぶ列車の運行が、夏季には1日1便、冬季には週2便の頻度で行われることになりました。夏期には更に、ベルゴロドやサンクトペテルブルク方面からの列車運行もあるため、アブハジアは観光地としての魅力を再確認されつつあります。

アブハジア鉄道は、その独自の歴史と地域の文化を持つ貴重な交通手段であり、今後も多くの観光客に支持されることでしょう。

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