アブハズ自治ソビエト社会主義共和国

アブハズ自治ソビエト社会主義共和国の概要

アブハズ自治ソビエト社会主義共和国（アブハズASSR）は、ソビエト連邦の時代にグルジア・ソビエト社会主義共和国の一部として存在した自治共和国です。この地域は1921年3月から1931年2月まで、アブハジア社会主義ソビエト共和国として知られていました。首都はスフミで、面積は約8,600平方キロメートル、人口はおよそ535,000人に達しました。このうち都市部の人口は261,000人、農村部は274,000人となっています。

歴史的背景

アブハズの地は、1917年のロシア革命後、赤軍によりスフミが占領されたことに始まります。以降、アブハズはグルジアとロシアの影響下で自治を認められる状況にありました。ソビエト連邦は民族自決の原則を掲げつつも、コレニザーツィア（植民地化）政策を他の民族に対して適用し、一部の自治を許す形でアブハズの地位を保っていました。しかし、ラコバの統治下では集団農業化への反発が強まり、その結果としてアブハズは自治共和国としての地位を与えられることとなります。

この自治共和国化は、グルジア内部における権力分散の意味合いも持っていました。アブハズASSRが設立されると、グルジア語の使用が年々強化され、グルジア人の移住が促進されていきます。このように、アブハズはグルジア化が進められましたが、スターリンの死後には抑圧が軽減され、自立の動きが復活してきました。

制度と権力構造

アブハズASSRは1937年8月2日に自らの政府機関を設立し、立法権を持つ最高機関として最高会議を定めました。最高会議は4年ごとに選挙を行い、その後、内閣を任命する権限を持つものとされました。この自治共和国は、ソビエト連邦最高会議の民族議会において11人の代議員を持ち、一定の政治的代表権を有していました。

ソビエト連邦崩壊後の動き

ソビエト連邦が崩壊すると、グルジアは1921年以前の民主共和国の憲法を復活させ、民族主義が再興されました。これを受けてアブハズ人たちは、自治権のさらなる縮小やグルジア化に対する反発を強め、1992年7月23日にアブハジア自治政府は独立を宣言しました。この独立宣言を受け、グルジアとの間でアブハジア紛争が勃発し、戦闘が繰り広げられました。戦闘の結果、アブハズは旧領の大部分を掌握することとなり、1994年5月15日には停戦合意に至りますが、両者の交渉は停滞し、その後もアブハズは実質的に独立した状態が続いています。

このような複雑な経緯を持つアブハズASSRは、歴史的にも政治的にも非常に興味深い地域です。

もう一度検索