アブ・アイワークス

アブ・アイワークス：ミッキーマウスを生み出した天才アニメーター

アブ・アイワークス (Ub Iwerks, 1901年3月24日 - 1971年7月7日) は、アメリカ合衆国ミズーリ州カンザスシティ出身のアニメーター、特殊効果技師です。本名はウッベ・エルト・イベルクス (Ubbe Ert Iwerks)。ウォルト・ディズニー・カンパニーの創業期に貢献し、世界的に有名なキャラクター、ミッキーマウスの生みの親として知られています。

ディズニーとの出会い、そして最初の成功

1919年、アイワークスはカンザスシティの広告デザイン会社に就職。そこで出会ったのがウォルト・ディズニーでした。二人はすぐに意気投合し、会社を辞めた後も共同で仕事を続けます。やがて、ディズニーはアニメーション制作への道を歩み始め、アイワークスも彼と共にLaugh-O-Gram Studioを設立。アイワークスはチーフ・アニメーターとして、初期のディズニーアニメーションの基礎を築き上げました。しかし、スタジオは経営難で倒産し、彼らはロサンゼルスへ拠点を移します。

ロサンゼルスで設立されたディズニー・ブラザーズ社では、「アリスコメディシリーズ」といった実写とアニメを組み合わせた作品を手掛けます。その後、新たなキャラクターの創造に挑み、ウォルトとアイワークスが共同で生み出したのが「オズワルド・ザ・ラッキー・ラビット」でした。この人気キャラクターは、長期間にわたるアニメシリーズの主役を担いましたが、配給会社との契約トラブルにより、キャラクターの権利を失うという苦い経験もします。

ミッキーマウスの誕生と独立

オズワルドを失ったディズニーとアイワークスは、新たなキャラクターを必要としていました。様々な動物をモチーフにしたキャラクター案が検討されるも、ウォルトの承認を得られず、行き詰まっていました。転機となったのは、かつて共に仕事をしていたヒュー・ハーマンが描いたネズミのスケッチでした。このスケッチからインスピレーションを得て、彼らはミッキーマウスを生み出します。

1928年に公開された「蒸気船ウィリー」でデビューしたミッキーマウスは瞬く間に人気を博し、アイワークスは初期のミッキーマウス作品や「シリー・シンフォニー」シリーズの作画をほぼ全て担当しました。しかし、次第にアイワークスはディズニーの制作方針や報酬体系に不満を感じ始めます。独立の話を持ちかけられた彼は、1930年に自身のスタジオ「アイワークス・スタジオ」を設立します。

アイワークス・スタジオの失敗とディズニーへの復帰

アイワークス・スタジオには多くの投資家から期待が寄せられていましたが、製作されたアニメーション作品は成功を収めることができず、1936年に倒産します。一方、ディズニー社は新たな才能を育成し、成功を収め続けていました。

アイワークスはその後、レオン・シュレジンガー・プロダクションなどのスタジオで経験を積み、1940年代にウォルト・ディズニー・カンパニーへ復帰。今度は特殊効果技師として、多くのディズニー作品に携わりました。また、テーマパークの製作にも貢献するなど、多方面で才能を発揮しました。1971年、心筋梗塞のため69歳でこの世を去りました。

アブ・アイワークスの功績

アブ・アイワークスは、初期のディズニーアニメーションに多大な貢献を果たしただけでなく、ミッキーマウスという世界的なキャラクターを生み出した人物です。彼の才能と創造性は、アニメーションの歴史に大きな足跡を残しました。1989年には、ディズニー・レジェンドにも選出されています。彼の功績は、これからも多くの人々に語り継がれていくことでしょう。

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