アプチアン

アプチアン（Aptian）

アプチアンは、約1億2500万年前から1億1300万年前にあたる前期白亜紀の時代名です。この時期を指す名称には、「アプト階」や「アプチアン階」が存在しますが、これらは特定の地層に関連した名称であり、地質時代を示すものではありません。地層名「アプト階」「アプチアン階」と時代名「アプト期」「アプチアン期」は、それぞれ対の関係にあり、層序学において重要な役割を果たしています。

層序学的定義

アプチアンとアルビアンの境界は、2016年に現在の定義に統一されました。フランスのドローム県にあるCol de Pré-Guittardのセクションにおいて、ある特定の浮遊性有孔虫が主指標として提案されましたが、その信頼性にはいくつかの問題点がありました。このため、白亜系小委員会は別の層準を承認し、国際的な基準として定めました。現在の定義では、特定の浮遊性有孔虫や他の生物に基づき、指標が設定されていますが、その同定には難しさが伴います。

火成活動

アプチアンの期間中は、火成活動が非常に活発でした。例えば、オントンジャワ海台は1億2500万年前に形成され、巨大な火山活動がありました。この海台形成の際に噴出された溶岩は約2000万 km³に及び、その結果、二酸化炭素が大量に放出され、温室効果をもたらすこととなりました。これにより、両極の氷床が融解し、海洋の熱塩循環が停滞する原因となりました。この火成活動は、地球内部のマントルが溶融することによるものと考えられており、隕石の衝突説は否定されています。

海洋無酸素事変

アプチアンの後期には「OAE1a」と呼ばれる海洋無酸素事変が発生しました。この事変時期の地層からは高い有機炭素割合が確認されており、海洋循環の弱体化によってこのような状況が引き起こされたと考えられています。この時期、特に放散虫やアンモナイトが大規模に絶滅しました。

また、これに続いてメキシコを含むテチス海地域では、アプチアンからアルビアンにかけて別の無酸素事変が発生したとされています。

日本でのアプチアン

日本国内では、福井県勝山市の手取層群北谷層からアプチアン期の化石が発見されています。また、兵庫県や石川県などでもこの時期に由来する化石が見つかっており、特に恐竜やアンモナイトの化石が多く確認されています。

日本近海のアンモナイトはOAE1aによって絶滅しましたが、一部の地層には当時の影響が残されている可能性があります。具体的には、北海道の蝦夷層群にOAE1aに該当する地層が見つかり、炭素同位体比の変動が指標として重要視されています。

結論

アプチアンは、前期白亜紀における重要な地質時代であり、特に火成活動や海洋無酸素事変がこの時期の特徴となっています。この時代に形成された地層や化石は、地球の過去の環境変化や生物の進化を理解するために重要な手がかりを提供しています。

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