アホウドリ科

アホウドリ科 (Diomedeidae)

アホウドリ科は、ミズナギドリ目に属する海鳥の一群で、アホウドリ類として知られています。広義にはアホウドリ科全体を指し、狭義にはアホウドリという特定の種を指します。

分布と生息域

アホウドリ科は、インド洋南部、南大西洋、太平洋に広く分布しています。寒帯から亜熱帯の海域に生息し、特に高緯度地域で多く見られます。しかし、北大西洋には生息していません。北半球では、北太平洋にキタアホウドリ属のみが生息しています。原則として赤道直下には生息しませんが、例外としてガラパゴス諸島周辺の寒流域にはガラパゴスアホウドリが生息しています。

形態

アホウドリ科の鳥は、大型の海鳥で、最大種のワタリアホウドリは全長107-135cm、翼開長は約300cmに達します。翼は細長く、高アスペクト比を持ち、これは旅客機の翼に匹敵します。この翼の形状は、海上で発生する気流を利用して、長距離を滑空するのに適しています。多くの種は全身が白い羽毛で覆われていますが、翼や尾羽が暗色の種もいます。嘴は太く長く、先端がやや下向きに湾曲しており、両脇に外鼻孔があります。卵は白色です。

生態

アホウドリ科は海洋生活に適応しており、生涯のほとんどを海上で過ごします。独特の飛行方法として、「ダイナミック・ソアリング」があります。これは、風の強い高所から風の弱い低所に急降下し、その勢いと風力の差を利用して再び上昇する方法で、ほとんど羽ばたかずに長時間飛行することができます。食性は動物食で、魚類、甲殻類、軟体動物などを食べます。泳ぐことはできますが、潜水は得意ではありません。そのため、水面付近の獲物を捕食することが多いですが、空中から急降下して獲物を捕らえることもあります。まれに、深海魚が胃の中から発見されることもあります。

アホウドリは、通常、つがいを形成すると一生解消されることはありません。しかし、繁殖が失敗し続けると解消されることもあります。多くの種は集団繁殖地（コロニー）を形成し、1回に1個の卵を産み、雌雄交代で抱卵します。性成熟には3-4年かかりますが、実際に繁殖を始めるのはそれから数年後になることが多いです。平均寿命は30年です。

系統と分類

アホウドリ科は、ミズナギドリ目の中でも比較的初期に分岐したグループです。かつてはミズナギドリ科の亜科として扱われることもありましたが、分子系統学的研究の結果、独立した科として認められるようになりました。以前はアホウドリ属とハイイロアホウドリ属の2属で構成されていましたが、現在ではオオアホウドリ属、キタアホウドリ属、モリモーク属を含む4つの属に分割する説が有力です。種に関しても、かつては13-14種に分類されていましたが、最大24種に分割する説も提唱されました。しかし、いくつかの種は再統合される傾向にあり、国際鳥類学会議（IOC）は21種を認めています。

人間との関わり

アホウドリは、古くから人々に様々な影響を与えてきました。英語名のalbatrossは、スペイン語のalcatraz（大型の海鳥を指す）に由来し、さらにアラビア語のペリカンal-qadusに遡ります。船乗りからは、溺死した船乗りの魂が宿った鳥として不吉の象徴とされることもありました。一方で、卵や羽毛は食用や利用目的で採取されることもありました。しかし、開発による繁殖地の破壊、水質汚染、漁業による混獲、食用や羽毛目的の乱獲、人為的に移入された動物による捕食などにより、多くの種で生息数が減少しています。ゴルフ用語のアルバトロスは、アホウドリが羽ばたくことなく長時間海の上を飛ぶことに由来します。また、アホウドリは航空機との衝突事故や、漁場探索の手がかりとしても知られています。

アホウドリの仲間たちは、今も厳しい環境の中で生きています。彼らの未来を守るために、私たち一人ひとりが環境問題に関心を持ち、持続可能な社会の実現に向けて努力することが大切です。

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