ミズナギドリ目

ミズナギドリ目：海鳥の多様な世界

ミズナギドリ目は、海鳥を代表する鳥類のグループです。その特徴は、なんといっても管状の鼻孔を持つ嘴にあります。この特殊な鼻孔は、優れた嗅覚能力と深く関わっています。ミズナギドリ類は、広大な海上で採食場所や繁殖地を探し出す際、この嗅覚を頼りにしていると考えられています。脳の嗅覚を司る部分の発達はこの説を裏付ける重要な証拠です。

分類：進化の謎を解き明かす

ミズナギドリ目の分類は、近年の分子系統解析によって大きく変遷しています。2008年の研究では、ペンギン目が姉妹群であるという結果が示されました。しかし、ミズナギドリ目の内部系統については、まだ議論の余地が残されています。

特に、ウミツバメ科やアホウドリ類、ミズナギドリ科などの分類は複雑で、研究者によって異なる見解があります。例えば、モグリウミツバメは独立した科を構成する、という説もありました。アシナガウミツバメ類も、かつてはウミツバメ科に分類されていましたが、分子系統解析の結果、ウミツバメ科の単系統性は支持されなくなりました。

2015年の研究では、198種の鳥類の核DNAを解析し、アホウドリ類がミズナギドリ目の中で最も初期に分岐したグループであることが示唆されました。さらに、この研究では、モグリウミツバメ属がミズナギドリ科に含まれるという結果も得られています。これらの研究成果は、ミズナギドリ目の進化の歴史を解き明かす上で重要な手がかりとなります。

本記事では、IOC World Bird List (v10.2)と山崎・亀谷(2019)の分類に従い、以下の科を挙げます。

アホウドリ科 Diomedeidae
ウミツバメ科 Hydrobatidae
アシナガウミツバメ科 Oceanitidae
ミズナギドリ科 Procellariidae

生態：海上の生活

ミズナギドリ類は、海洋生態系の重要な構成員です。主な餌は魚類、甲殻類、イカ類ですが、動物の死骸や漁船から捨てられた残飯を食べる種もいます。海水を飲み込むことで摂取する塩分は、眼の上部にある鼻腺で濃縮され、鼻孔から排出されます。これは、海鳥特有の塩分排出機構です。

繁殖様式は、1回に1個の卵を産むというシンプルなものです。しかし、驚くべきことに、ミズナギドリ類の中には、死亡率が低く、平均寿命が15～25年に達する長寿の種も存在します。これは、他の多くの海鳥と比較して非常に長い寿命です。

まとめ

ミズナギドリ目は、その独特の形態、複雑な分類、そして興味深い生態を持つ、魅力的な海鳥のグループです。今後の研究によって、ミズナギドリ目の進化の歴史や、種間の関係性がさらに明らかになることが期待されます。

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