アポマトックス・コートハウス:南北戦争終結の地
アポマトックス・コートハウスは、
アメリカ合衆国バージニア州アポマトックス郡に位置する歴史的な集落です。この地は、
南北戦争の終焉を象徴する場所として、その名を歴史に刻んでいます。
地理と名称
アポマトックス・コートハウスは、アポマトックス町の東約5km、リンチバーグ市からは東に約40kmの場所に位置しています。その名称「コートハウス」は、元々
巡回裁判所が置かれていた建物、つまり裁判所を意味します。この建物には、郡庁としての機能も備わっていました。南部諸州の田舎では、「郡の名前+コートハウス」という名称が、
郡庁所在地を含む集落を指すことが一般的でした。アポマトックス・コートハウスも、アポマトックス郡の裁判所があったことに由来します。しかし、
南北戦争後に裁判所は移転し、現在のアポマトックス・コートハウスの建物は、アポマトックス町にあります。
歴史
元々クローバーヒルと呼ばれていたこの集落は、リッチモンド=リンチバーグ街道沿いの
駅馬車の宿場町として発展しました。1819年頃に建てられたクローバーヒル・タバーンがその中心であり、旅行者の宿泊と馬の交換が行われていました。1845年にアポマトックス郡が設立されると、クローバーヒルは
郡庁所在地となり、裁判所と刑務所が建設されました。
1854年には、サウスサイド鉄道が開通しましたが、鉄道は集落から約5km南を通りました。そのため、駅周辺に新たな集落(アポマトックス町)が発展し、商業の中心が移りました。アポマトックス・コートハウスは、人口が150人を超えることはありませんでしたが、
南北戦争の終結の地として歴史に名を残すことになります。
1892年に旧裁判所は焼失し、現在の裁判所はアポマトックス町に建設されました。1935年には、クローバーヒル・タバーンなどが公園として指定され、その後、国立歴史公園として整備が進められました。
マクリーン・ハウスとリー将軍の降伏
1865年4月9日、アポマトックス・コートハウスのウィルマー・マクリーンの家で、南軍の
ロバート・E・リー将軍が
北軍の
ユリシーズ・グラント将軍に降伏し、
南北戦争は事実上終結しました。奇しくも、
南北戦争最初の大会戦である
第一次ブルランの戦いは、マクリーンの農園で始まりました。
マクリーンは、元々民兵隊の少佐でしたが、
南北戦争勃発時は高齢のため徴兵されませんでした。彼は、戦火を避けるためにマナサスからアポマトックス・コートハウスに移住しましたが、実は戦時中に砂糖の密輸出で財産を築いていました。
マクリーンの家では、降伏条件が決定され、その後、
北軍の司令部として利用されました。降伏条件は、士官が武器を政府に向けないこと、携帯武器や個人的な馬、手荷物などを引き渡すことでした。
南北戦争後のマクリーン・ハウス
マクリーンは、砂糖の密貿易で財産を築きましたが、連合国の崩壊と共にその通貨価値は無くなり、破産に近い状態でした。彼は
1867年にアポマトックス・コートハウスを去り、その後、マクリーンの家は競売にかけられました。その後、何度か所有者が変わり、
1891年にはマイロン・ダンラップによって購入されました。ダンラップは、この家を
シカゴ万博に展示しようとしましたが、資金不足と法的な問題により実現しませんでした。家の部材は放置され、荒らされてしまいました。
マクリーン・ハウスの再建
1940年、
アメリカ合衆国議会はアポマトックス・コートハウス国立歴史史跡を創設しました。その後、発掘調査や再建計画が進められました。第二次世界大戦によって中断されましたが、戦後に再開され、
1949年にマクリーン・ハウスは再建されました。
1950年の落成式では、
ロバート・E・リー4世と
ユリシーズ・グラント3世がテープカットを行いました。
現在、アポマトックス・コートハウス国立歴史公園として、この地は歴史的意義を伝える場所として保存されています。かつての面影を残す建物や、
南北戦争終結の舞台となったマクリーン・ハウスは、訪れる人々に歴史の重みを伝えています。
脚注
この記事の一部は、アポマトックス・コートハウス国立歴史公園の資料に基づいています。
この記事には、著作権の消滅した百科事典の本文が含まれています。
関連項目
南北戦争
東部戦線 (
南北戦争)
外部リンク
A Brief History of Appomattox County
National Park Service, Appomattox Court House
Appomattox Court House National Historic Park - Spotlight America
Road to Appomattox PowerPoint slide show Civil-War-Journeys.org