アポロA-004

アポロA-004は、アメリカのアポロ計画において実施された6回目の緊急脱出用ロケット（LES）の発射実験であり、この実験をもってLESの試験は完了しました。アポロ計画における重要なマイルストーンであり、その後の有人宇宙飛行の安全性を高める上で不可欠なデータを提供しました。

実験の目的

A-004の主な目的は、LESの最終的な性能試験を行うことでした。この実験では、初めて実物の司令船が使用され、LESが空力的な限界に達するような状況下で正確に作動するかどうか、また、LESが限界高度でモーターを噴射した後、適切に機体を安定させ、正しい方向に導けるかを検証することが目的でした。

特に、以下の2点が重要な検証項目でした。

1. LESが、空力的な限界に近い状況下で正確に作動するかどうか。
2. LESが、限界高度でモーターを噴射した後、機体を安定させ、正しい姿勢で降下させることができるか。

この実験は、当初「アポロ1号」と呼ばれていましたが、翌年1月27日に発生した司令船の火災事故で3名の飛行士が犠牲になった後、この事故が「アポロ1号」と命名されました。

実験に使用された機体

実験には、リトル・ジョーIIロケットが使用されました。これはリトル・ジョーIIロケットにとって最後の飛行であり、4基のアルゴルロケットと5基の補助エンジンを搭載し、総推力は1,766kNと過去最大でした。司令・機械船、そしてLESには、いくつかの改良が加えられていました。パラシュートは、過去のPAT-2実験で使用されたものと同じものが使用されました。

飛行の詳細

技術的な問題や天候の影響で若干の遅延はあったものの、A-004は1966年1月20日15時17分1秒（UTC）に、ホワイトサンズミサイル基地から発射されました。予定高度に到達後、地上管制官の指令によってLESはロケットモーターに点火し、大きく回転しながらリトル・ジョーIIから分離されました。分離時の回転速度は、ヨーおよびピッチ運動が160度/秒、ロール運動が70度/秒でした。機体の前部にあるカナード（小翼）が展開されると、機体は4回転した後、司令船の耐熱シールドが進行方向を向くように姿勢が安定しました。

その後、LESの切り離しやパラシュートの展開も問題なく行われ、司令船は発射台から34.63km離れた地点に着陸しました。到達高度は23.83kmでした。この実験の結果は、その後のアポロ計画における緊急脱出システムの信頼性を高める上で重要な役割を果たしました。

まとめ

アポロA-004は、アポロ計画において、LESの性能を最終的に確認するための重要な実験でした。実物の司令船を使用し、極限状態でのLESの動作を検証したことは、有人宇宙飛行における安全性を確保する上で不可欠なステップでした。また、この実験で得られたデータは、後のアポロ1号の事故原因究明にも役立ちました。

外部リンク

Apollo Maniacs（アポロ・マニアックス）

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