アポロSA-5

アポロSA-5：サターンI型ロケットの重要な試験飛行

アポロSA-5は、アメリカのアポロ計画において5回目に行われたサターンI型ロケットの発射実験です。この実験は、ロケット技術の進歩と宇宙開発におけるアメリカの優位性を確立する上で、非常に重要な役割を果たしました。

初めて二段式ロケットが搭載された実験

SA-5の最大の特徴は、サターンIロケットに初めて二段目のS-IVロケットが搭載されたことです。S-IVロケットは、液体水素を燃料とし、液体酸素を酸化剤として使用する6基のRL10A-3エンジンを搭載していました。このS-IVロケットは、以前からセントール・ロケットでの試験が計画されていましたが、実際に試験が行われたのはSA-5の発射の数ヶ月前でした。S-IVを輸送する際には、ボーイング377を改造した「プレグナントグッピー」と呼ばれる輸送機が使用されました。これはグッピーという愛称で親しまれました。

その他の改良点

SA-5では、燃料タンクの増量とエンジンの出力増強が行われました。また、飛行中の姿勢を安定させるために、機体の底部には8枚の翼が取り付けられました。さらに、S-IVの上部には、ロケットの飛行を自動的に制御するためのコンピュータ、ジャイロスコープ、加速度検出器などが搭載されました。これにより、より高度な飛行制御が可能になりました。

飛行の実際

SA-5の発射は、当初1964年1月27日に予定されていました。しかし、第一段ロケットに液体酸素を充填中にパイプの詰まりが発生し、酸素供給が停止してしまいました。このトラブルにより、発射は2日間延期されました。

2日後の1月29日、SA-5は問題なく発射されました。機体は6台の望遠鏡で追跡され、13台のカメラでヨー、ピッチ、ロールなどの運動が撮影されました。第一段ロケットと第二段ロケットの分離の様子は、機体に搭載された8台のカメラで撮影され、フィルムは分離後に大西洋上で回収されました。分離は完璧に行われ、第一段は減速用ロケットで引き離され、第二段は加速用ロケットで燃料を底部に押し付け、エンジン点火の準備を整えました。すべての手順が完全に実行されました。

地球周回軌道への投入と歴史的意義

約8分間の燃焼後、S-IVは近地点262km、遠地点785kmの楕円軌道に投入されました。アポロ計画において、搭載物が地球周回軌道に乗ったのはこれが初めてであり、軌道に乗った総重量は16,965kgに達し、当時世界最大の人工衛星となりました。この成功は、SA-5の当初の目的ではありませんでしたが、1957年のスプートニク・ショック以来続いていたアメリカのソ連に対する劣等感を払拭する上で、大きな転換点となりました。

まとめ

アポロSA-5は、サターンI型ロケットの性能を証明し、アポロ計画の成功に大きく貢献した重要な実験でした。この実験での成功は、アメリカが宇宙開発競争において優位に立つための重要な一歩となりました。この成功は、後の月面着陸に繋がる技術的な基盤を築き、人類の宇宙探査における偉大な進歩を象徴しています。

Apollo Maniacs（アポロ・マニアックス）

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