ボーイング377

ボーイング377ストラトクルーザー

ボーイング377ストラトクルーザーは、アメリカのボーイング社が開発した大型のプロペラ旅客機であり、その特異なデザインと豪華な設備から「空飛ぶホテル」として知られています。この機材は最後の大型プロペラ旅客機とされ、航空産業の歴史において特別な役割を果たしました。

歴史的背景

ボーイング社は、第二次世界大戦中にB-29スーパーフォートレスを原型としたC-97ストラトフレイター輸送機の開発を行いました。1944年11月に初飛行したこの機体は、戦後の大型・長距離旅客機としてボーイング377の開発へとつながりました。377は1947年に初飛行し、パンアメリカン航空のニューヨークとロンドンを結ぶ路線に就航。以後、太平洋横断路線などで運用されました。

ボーイング377は、ダグラスDC-7のような他の大型プロペラ機と比較されることが多いですが、377はB-29の技術を活かし、革新的な設計を取り入れています。その結果、航空機用レシプロエンジンの進化を象徴する存在となりました。

豪華な設備

ボーイング377の国際線仕様には、独特の2階建て客室が配置されており、乗客には快適さを提供していました。客室には折りたたみ式ベッドや男女別の洗面室、さらにはバーを備えたラウンジエリアもあり、乗客は優雅な空の旅を楽しむことができました。その豪華さから、「空飛ぶホテル」という名が付けられました。

映画評論家の淀川長治氏は、1951年にアカデミー賞授賞式に出席するためにアメリカへ渡航した際に、ボーイング377に搭乗し、その快適さを体験したことを自伝に記しています。また、マリリン・モンローやジョー・ディマジオの新婚旅行にもこの機体が使用され、より多くの人々にその魅力をアピールしました。

短い現役期間

残念ながら、ボーイング377の民間型は56機にとどまり、民間機としての運用は短命に終わりました。高価格であったために運用コストが高く、また長距離用旅客機仕様であったため、利用できる空港も限られていました。1950年代には、ジェット旅客機の登場により、ボーイング377は急速に時代遅れとなり、各航空会社から退役していきました。

トランスオーシャン航空が購入したこともありましたが、1960年に破綻。大手航空会社も次々とボーイング377を運航から外し、レトロフィッティングや解体が進む中、現在では現存する機体はほとんどありません。

発展型と転用

ボーイング377は、その設計がC-97と共通していたため、宇宙航空関連の貨物輸送機に改造されたり、輸送機として使われたりしました。この中には、イスラエル空軍による改装機も含まれています。これらの機体は、特に電子戦機や空中給油機として運用されました。

技術的スペック

全幅は43.05m、全長は33.63m、全高は11.66mのボーイング377は、4基のプラット・アンド・ホイットニー R-4360エンジンを搭載していました。最高速度は約600km/h、航続距離は約6700km、乗客数は最大100席を設けることができました。

まとめ

ボーイング377ストラトクルーザーは、その優雅さと先進技術から航空機史の一部として記憶されています。搭載された数々の豪華な設備や長距離航路への適応能力は、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

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