アマチャヅル

アマチャヅル（甘茶蔓）

アマチャヅル（学名: Gynostemma pentaphyllum）は、ウリ科アマチャヅル属に分類される多年生のつる性植物です。日本では、北海道から沖縄まで、山地の林縁や藪などで自生が見られます。その葉は健康茶として利用され、古くから民間薬としても親しまれてきました。

特徴

形態: つる性の落葉多年草で、茎は3〜5mほどまで伸びます。葉は鳥足状複葉で、通常5枚の小葉からなりますが、3〜7枚になることもあります。小葉は菱形から狭卵楕円形で、縁に鋸歯があります。夏から秋にかけて、黄緑色の小さな花を咲かせ、雌株には球状の液果が実ります。
生態: 半日陰を好み、つるは巻きひげで他の物に絡みつきながら成長します。見かけはヤブガラシに似ていますが、アマチャヅルの茎はより細く、葉は柔らかく短毛がある点で区別できます。

利用

健康茶: 葉を煎じたお茶は、かすかな甘みがあり、鎮静作用やストレス緩和に良いとされています。また、強壮や咳止めにも利用されます。苦味があるものほどサポニンを多く含むと言われています。
薬用: 茎や葉には、薬用人参に含まれるジンセノサイドという成分が含まれており、古くから中国などで薬草として利用されてきました。滋養強壮や保健のために、乾燥させたものを煎じて服用したり、焼酎に漬け込んで薬用酒として利用されています。

薬理作用

アマチャヅルに含まれるサポニンには、溶血作用が少なく、組織細胞を若返らせる作用があると言われています。この成分が健康維持に役立つとされ、近年注目を集めています。

栽培

アマチャヅルは比較的栽培が容易です。

環境: 夏場の直射日光を避けられる場所で、土が乾燥しないように管理します。
繁殖: 種まきや株分けで繁殖できます。種まきは9〜10月が適期です。
植え付け: 春先（3〜4月）または秋（10〜11月）に苗を植え付けます。つるが伸びてくるため、支柱を立てると良いでしょう。鉢植えでも育てることができ、生育期に液肥を与える程度で栽培できます。

注意点

医薬品との相互作用については、CYP1A2という酵素に関連する薬剤との相互作用の可能性が指摘されています。栽培地や加工方法によって成分が変わる可能性もあるため、注意が必要です。

まとめ

アマチャヅルは、健康茶や民間薬として利用されるだけでなく、家庭でも手軽に栽培できる植物です。その葉には、健康に役立つ成分が含まれており、古くから人々に親しまれてきました。ただし、医薬品との相互作用には注意が必要です。

参考文献

岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年
川原勝征『食べる野草と薬草』南方新社、2015年
耕作舎『ハーブ図鑑200』主婦の友社、2009年
高野昭人監修 世界文化社編『おいしく食べる 山菜・野草』世界文化社、2006年
田中孝治『効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法』講談社、1995年
内藤俊彦『秋の花』北隆館、1995年
山田孝彦、山津京子『万葉歌とめぐる野歩き植物ガイド』太郎次郎社エディタス、2013年

関連項目

アマチャ
漢方

外部リンク

アマチャヅル 額田医学生物学研究所
竹本常松, 在原重信, 吉川和子, 中島正, 奥平恵, 12 アマチャヅルのサポニン成分」『天然有機化合物討論会講演要旨集』 1981年 24巻

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