アマドゥ・クルマ

アマドゥ・クルマ：激動の時代を生きたアフリカ作家の生涯と作品

アマドゥ・クルマ (1927年 - 2003年) は、コートジボワール出身の作家であり、20世紀後半のアフリカを代表する文学者の一人です。彼の生涯は、植民地支配からの独立、政治的弾圧、そして亡命生活と、激動の時代を反映するものでした。その経験は、彼の作品に深く刻まれ、アフリカの現実を鋭くえぐり出す力強い表現を生み出しました。

激動の生涯：植民地から独立、そして亡命へ

1927年、フランス領コートジボワールで生まれたクルマは、マリンケ族出身です。彼は仏領スーダンで教育を受け、その後、フランス軍の一員としてインドシナで従軍しました。1950年代半ばにフランスに戻り、リヨンで数学を学びましたが、その後は故国コートジボワールへと戻ります。しかし、独立後の政治情勢に失望し、フェリックス・ウフェ＝ボワニ政権への批判を理由に投獄されました。

投獄後、クルマはアルジェリア、カメルーン、トーゴへと亡命します。亡命生活は長く、彼の政治的な信念を反映するものでした。彼は、アフリカにおける独立後の政治体制や、権力者の横暴、そして人々の苦しみを目の当たりにしました。この経験は、彼の文学的感性に大きな影響を与え、後の作品群の基盤となります。

作品群：植民地と独立、そして内戦

クルマの代表作として挙げられるのが、『独立の太陽 (Les soleils des indépendances)』です。1970年に発表されたこの小説は、植民地支配からの独立後、依然として続く植民地主義の呪縛や、新しい権力者による政治的腐敗を痛烈に批判しました。この作品は、アフリカ文学における重要な一作として高く評価されています。

その後も彼は精力的に作品を発表し続けました。『モネ、侮辱、挑戦 (Monnè, outrages et défis)』では、植民地時代から独立に至るまでの1世紀に渡る歴史を描写しました。1994年には、『野獣の投票を待ちながら (En attendant le vote des bêtes sauvages)』でPrix du Livre Inter賞を受賞。この作品では、独裁者となった「はだかの部族」の狩人の歴史が描かれています。

彼の晩年の作品である『アラーの神にもいわれはない (Allah n'est pas obligé)』は、リベリア内戦下の少年兵となった孤児の物語です。この作品は、ルノードー賞と高校生のゴンクール賞を受賞し、世界的なベストセラーとなりました。少年兵たちの悲惨な状況と、戦争の残酷さを鮮やかに描き出し、世界中の人々の心に深い衝撃を与えました。2004年には、この作品の続編『Quand on refuse on dit non』が発表されました。この作品は、武装解除されコートジボワールに戻った少年兵たちの内戦後の生活を描いています。

コートジボワール内戦への批判と死

2002年に勃発したコートジボワール内戦においても、クルマは積極的に発言しました。「イヴォワリテ（コトージボワール性）」という概念に対して批判的な立場を取り、内戦の発生を「不条理」と位置付けました。彼の発言は、政権支持派からの批判を招くこととなりました。

2003年、フランスのリヨンで死去。享年76歳でした。彼の遺体は、しばらくフランスに留まりましたが、政治情勢が落ち着いてから、2014年にようやく故国コートジボワールに送還されました。

結論：アフリカ文学史に輝く作家

アマドゥ・クルマは、激動の人生を送った作家でした。彼の作品は、アフリカの現実をありのままに伝え、多くの読者に衝撃と感動を与えました。彼の死後も、彼の作品は世界中で読み継がれ、アフリカ文学史に燦然と輝く存在として記憶され続けています。植民地主義、独立後の混乱、そして内戦と、彼が経験した歴史的背景は、彼の作品に深みと重みを与え、普遍的なテーマとして読み解くことができます。彼の言葉は、これからも多くの人々に考えさせ続けることでしょう。

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