アマンド・ドロニラ

アマンド・エルミタノ・ドロニラの生涯

アマンド・エルミタノ・ドロニラ（Amando Ermitano Doronila）は、1928年2月6日にイロイロ州ドゥマンガスで誕生し、2023年7月7日に95歳で亡くなった。彼はフィリピンの政治における重要なジャーナリストであり、著作家及び新聞発行人としての地位を確立した。

生い立ちと教育

ドロニラは、父親アルセニオ・ドロニラと母親マルセリナ・エルミタノの間に生まれ、1953年にザ・イースト大学から経営学の学士号を取得した。彼のジャーナリズムへの関心は学生時代から始まり、大学新聞『ザ・ドーン』の編集長を務めたことで、メディアの世界に足を踏み入れることになった。

ジャーナリストとしての初期の活動

彼のプロとしてのスタートは、『マニラ・ブレティン』で新聞記者として活動した際に切り開かれた。1960年代初頭には、ディリー・ミラーでの政治コラムニストや、マニラ・クロニクルの編集長に就任し、フィリピン全国記者クラブの会長も歴任した。さらに、フィリピン大学では非常勤講師を務め、ソーシャルメディアが未発達だった時代において重要な存在だった。

戒厳令による迫害

ドロニラは、1972年のフィリピンにおける戒厳令の影響を大きく受けた。彼の編集長としての立場から、マルコス政権に対する激しい批判を展開していたため、政権は彼を標的とした。彼に対する恐喝とも言える弾圧は、すぐに彼の投獄や国外追放に繋がることとなった。1975年にはオーストラリアに追放され、メルボルンで『ジ・エイジ』紙に勤務することとなったが、フィリピンにおける彼の影響力は決して消えることはなかった。

フィリピンへの帰還と影響力

ドロニラは1985年にフィリピンに戻り、マルコス政権の崩壊に立ち会った。1986年のピープルパワー革命以降、彼は再びジャーナリズムの現場に立ち、最初は『マニラ・タイムズ』でコラムニストを務めた。その後、『クロニクル』紙の編集長に復帰し、1998年までその職を全うした。

彼はコラソン・アキノ政権のもとでの変革を支持し、「脱マルコス化する」という言葉を世に広めるなど、フィリピンの政治とメディアに多大な影響を与えた。

後年の活動と引退

ドロニラは『フィリピン・デイリー・インクワイアラー』の政治コラムニストとしても活躍し、その「News Analysis」欄は長年にわたり同紙の一面を飾った。特に2001年には、ジョセフ・エストラーダ大統領の追放に繋がる記事を執筆し、彼の取材の成果は多くのメディアに影響を与えた。2016年にはジャーナリズムの現場から引退し、オーストラリアに戻って静かな生活を選んだ。

私生活と死

彼は妻であるルアデス・シルベリオとの間に3人の子どもを持ち、2020年に妻を失った。晩年はナーシングホームで過ごし、2023年に肺炎の合併症で死去した。彼の仕事と影響力は、今なおフィリピンのジャーナリズムにおいて記憶され続けている。

主要著書と受賞歴

ドロニラは大変多くの著作を残しており、代表作には『The State, Economic Transformation, and Political Change in the Philippines, 1946-1972』や『The Fall of Joseph Estrada: The Inside Story』などがある。また、彼は多くの名誉を受けており、2002年にはチーノ・ロケス自由賞、2008年にはナショナルブックアワードを受賞した。

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