アミダばばあ

アミダばばあは、フジテレビ系バラエティ番組「オレたちひょうきん族」の看板コーナー「タケちゃんマン」に登場した、明石家さんま扮する敵役キャラクターです。彼女は、タケちゃんマンと戦った数々の怪人の中で、唯一勝利を収めたという特異な存在として、今もなお多くの人々に記憶されています。

誕生と初期設定

アミダばばあは、番組内で明石家さんま自身が考案したキャラクターです。当初、お年寄りをいじめるような設定はどうかと躊躇する声もありましたが、「スマートにやれば大丈夫だろう」という判断で採用に至りました。初登場は第62話、「丑三つの村の悪霊の館の巻」で、夜中の旅館で斧を研ぐ不気味な老婆として登場しました。見つかると「見ぃ～た～なぁ～～」と凄み、さらに「あみだくじ～あみだくじ～」と不気味な歌を歌い出すという、シュールな演出が特徴的でした。

詳細な設定

本名は網田久慈（あみだのおくじ）で、80歳という高齢の設定です。過去にいじめられた経験や、身分違いの恋愛による失恋経験があるものの、現在に至るまで処女であるという設定も、彼女のキャラクターを一層際立たせています。怪人化した理由は不明ですが、その特異な出自が、彼女の行動原理を理解する上で重要な要素となっています。

ファッションと変身能力

初期のアミダばばあは、あみだくじ模様のエプロンを着用する程度で、人間と大差ない姿でした。しかし、中盤の第83話からは、コシノジュンコがデザインした、金庫をあしらったトップスにサルエルパンツ、カーリーヘアに太めのヘアバンドという、前衛的なファッションに身を包むようになりました。また、変身能力を持っており、お待ち娘などに化けてタケちゃんマンを油断させることもありました。

戦闘スタイルとギャグ

彼女の主な戦い方は、あみだくじを利用した攻撃です。エプロンに描かれたあみだくじや、あみだくじセット、パソコンゲームのあみだくじなどを使い、タケちゃんマンに様々な攻撃を仕掛けます。攻撃前には「死んでも知らんど〜!!」と威嚇しますが、その攻撃は「富士山」と言って手の甲の皮を引っ張ったり、「梅干し」と言ってこめかみに拳を当てるなど、非常にしょぼいものでした。これらのギャグ要素が、アミダばばあの人気の秘訣の一つとなっています。また、タケちゃんマンのエセ関西弁や京橋・グランシャトーのCMソング攻撃に苦しむ様子も、お決まりのパターンでした。

タケちゃんマンとの戦いと最期

1984年のタケちゃんマンが弱体化した時期には、しばしば勝利寸前まで追い詰めることもありましたが、タケちゃんマンロボには敵いませんでした。最終的に、第107話で奇病「四角病」にかかったアミダばばあファンの少年を救うため、タケちゃんマンと決闘に挑み、猛特訓の末にタケちゃんマンロボを倒しました。しかし、その結果タケちゃんマンを倒してしまったことで生きがいを失い、少年に別れの手紙を送った後、自ら入水自殺するという悲劇的な最期を迎えました。

その後

1984年の新春かくし芸大会では、松田聖子主演のドラマ「おせん」に登場。死んだ祖母がアミダばばあの姿で起き上がり、アミダくじで家族の運命を決めるというコミカルな場面が描かれました。また、1989年の最終回では、タケちゃんマンロボを倒して勝利を飾りました。2000年代以降も、嘉門達夫のアルバムや、27時間テレビに登場するなど、その人気は衰えることなく、今もなお多くの人々に愛されています。

テーマソング

アミダばばあには、彼女のキャラクターを象徴するテーマソングが存在します。「アミダばばあの唄」は、桑田佳祐が作詞作曲を担当した楽曲で、EP版のみで発売されました。B面には関口和之作詞、新田一郎作曲の「アミアミダダバアミダばば」が収録されています。この曲は明石家さんまのアルバムにも再録され、アミダばばあの人気をさらに高める一因となりました。