アミラル・ペトレ・バルブニェヌ級コルベット

アミラル・ペトレ・バルブニェヌ級コルベット

ルーマニア海軍が運用するアミラル・ペトレ・バルブニェヌ級コルベットは、同国海軍の沿岸防衛において重要な役割を担う艦級です。この艦級の正式名称は1048号計画型コルベットと定められており、北大西洋条約機構（NATO）からはテタル-I型のコードネームが与えられています。

設計と建造

本級はルーマニア国内において設計が進められましたが、設計及び建造計画は当時の経済状況に影響を受け、一部で遅延が生じました。ネームシップであるアミラル・ペトレ・バルブニェヌの船体は、1980年にその建造が開始されました。以降、同型艦の建造が進められ、ルーマニア海軍の重要な戦力として配備されています。

主要装備

アミラル・ペトレ・バルブニェヌ級コルベットは、その任務遂行能力を支えるために、複数の高度なセンサーと強力な武装を装備しています。

センサーシステム

艦の頂部に位置するマストには、主要な捜索用レーダーであるMR-302「ルブカ」レーダーが搭載されています。このSバンドを使用するレーダーは、対空および対水上の両方の目標を探知する能力を有しており、広範囲の警戒監視に不可欠な役割を果たします。NATOにおけるこのレーダーのコードネームは「ストラット・カーブ」です。

主力武装

本級の主要な攻撃力となるのは、AK-726 59口径76mm連装砲です。この強力な砲システムは艦の前後、具体的には艦首甲板と艦尾甲板にそれぞれ1基ずつ配置されています。合計2基の76mm連装砲は、主に水上目標に対する砲撃任務に用いられるほか、限定的ながらも対空戦闘能力も備えています。これらの主砲の射撃を精密に制御するため、艦の上部構造物には「ヤコール」火器管制レーダーが設置されています。このXバンドを使用するレーダーは、NATO名で「ホーク・スクリーチ」と呼ばれています。

近接防空

艦艇が遭遇する可能性のある近距離からの脅威に対処するため、本級は近接防空システムも装備しています。上部構造物の後端、両舷にAK-230 65口径30mm連装機銃が搭載されています。これらの機銃は、接近する対艦ミサイルや高速小型艇などに対する最終防衛手段として機能します。これらの30mm機銃システムを効果的に運用するため、機銃の直前にはMR-104「ルィーシ」火器管制レーダーが設置されています。このレーダーは、NATOコードネームで「ドラム・テイルト」と呼ばれており、近距離目標に対する迅速かつ正確な照準を可能にしています。

結び

アミラル・ペトレ・バルブニェヌ級コルベットは、国内での設計と建造という挑戦的な試みを経て誕生しました。経済的な困難による遅延があったものの、1980年代からの就役により、ルーマニア海軍の海上防衛体制において中核を担う存在となっています。搭載された多機能なセンサーとバランスの取れた火器構成は、沿岸警備や哨戒といった任務遂行能力を支える重要な要素となっています。

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