AK-726

AK-726 艦載砲

AK-726は、1950年代にソビエト連邦で開発された連装式の艦載砲システムです。その正式な口径は76.2ミリメートルですが、「76ミリ連装砲」と称されることも少なくありません。この砲は、水上艦艇に対する攻撃および航空機からの脅威への対処（対空射撃）という二つの役割を担う両用砲として設計され、ソ連海軍の多数の艦艇に搭載されたほか、海外の友好国にも広く供与されました。

開発経緯

本砲の開発計画は、1950年代半ばに「ZIF-67」の仮称のもとで始まりました。設計局は1956年には基本的な技術案を提出し、数年間の開発と試験を経て、1963年にいよいよ量産が開始されました。実際にソ連海軍の艦艇への納入が始まり、部隊での運用が開始されたのは1964年5月からのことです。およそ10年がかりで開発から実用化に至ったシステムと言えます。

性能諸元と運用

AK-726は、その口径に対して高い性能を発揮しました。最大射程は水上目標に対して約15,700メートル、対空目標に対して約13,000メートルです。毎分90発という比較的高い連射速度で、一発あたり5.9キログラムの砲弾を発射できます。砲身の冷却には主に空冷方式が用いられますが、集中的な射撃を行う際には、砲身の過熱を防ぐために射撃の合間にポンプで海水を吹き付ける補助的な冷却システムが備えられていました。本砲システムの運用には、計9名の操作要員が必要です。射撃の指揮と照準は、専用の射撃管制システムであるMR-105トゥレル（NATOコードネーム：アウル・スクリーチ）と連携して行われます。

特徴と評価

AK-726は、同世代の他の76ミリ級艦砲と比較すると、やや大型で重量がある傾向がありました。しかし、その優れた性能と特に高い信頼性は、ソ連海軍において高く評価されました。厳しい運用条件下でも安定した作動を維持できることは、当時のソ連艦艇にとって重要な利点でした。対水上戦闘、対空防御の両面で一定の成果を上げた成功作と見なされています。ただし、ソ連海軍の技術的な要求はその後さらに高度化し、AK-726の性能だけでは将来の脅威に十分対応できないと判断されました。このため、ソ連は後にAK-100（100ミリ単装砲）やAK-176（76ミリ単装砲）といった、より高性能な後継システムを開発・配備していくことになります。西側における同時期の同級艦砲としては、イタリア製のOTO 76mm砲がよく比較されます。

搭載艦艇例

AK-726は、その汎用性と信頼性から、ソ連海軍およびロシア海軍の多種多様な艦艇に搭載されました。主要な搭載艦艇としては以下のようなクラスが挙げられます。

159型警備艦（ペチャ級フリゲート）
35型警備艦（ミルカ級フリゲート）
1159型警備艦（コニ級フリゲート）
1135型警備艦（クリヴァク-I型フリゲート）
56型駆逐艦（コトリン級駆逐艦）
56-U型駆逐艦（キルディン級駆逐艦）
61型大型対潜艦（カシン級駆逐艦）
58型ミサイル巡洋艦（キンダ級巡洋艦）
1134-B型大型対潜艦（カーラ級巡洋艦）
1143型航空巡洋艦（キエフ級航空母艦）※4番艦「バクー」を除く
1174型大型揚陸艦（イワン・ロゴフ級揚陸艦）

ソ連国外では、友好国向けに輸出された艦艇や、ソ連製艦艇を導入した国で運用されました。

インド海軍：61ME型駆逐艦（ラージプート級）、潜水母艦アンバ
ユーゴスラビア海軍/モンテネグロ海軍：コトル級フリゲート
ルーマニア海軍：アミラル・ペトレ・バルブニェヌ級コルベット、マラシェシュティ駆逐艦

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