アムフリート

アムフリート (Amfleet): アムトラックを支える一階建て客車

アムフリートは、アムトラックが保有する一階建て客車で、「アムフリート客車」とも呼ばれます。バッド社によって1970年代から1980年代にかけて製造され、アムトラック発足以来、最初に発注された客車として知られています。その車体は、長さ約26メートル、幅約3.4メートル、高さ約3.9メートルで、2014年現在も広範囲で使用され、アムトラック列車において主力として活躍しています。二階建てのスーパーライナーと並び、アムトラックを代表する車両の一つです。

歴史

1971年のアムトラック発足時、各私鉄から継承した約1,200両の客車は老朽化が著しく、標準化の必要性から、アムトラックは新造客車としてアムフリートを二度に分けて発注しました。アムフリートは、同じバッド社製の「メトロライナー」電車を基に設計されたため、丸みを帯びたコルゲート車体や固定窓など、類似点が見られます。

アムフリートI

最初の発注は1973年に行われ、70台のEMD SDP40F形ディーゼル機関車とGE E60形電気機関車11台と同時でした。合計492両の「アムフリートI」には、以下の種類があります。

アムカフェ (Amcafe): 軽食カウンターと51席の座席を備えた合造車 (54両)
アムダイネット (Amdinette): 軽食提供と食堂車機能を併せ持ち、4人掛けボックス席8つと23席の座席を持つ (37両)
アムクラブ (Amclub): 軽食カウンター、上級客席のクラブシート18席、普通席23席を備えた合造車 (40両)
アムコーチ (Amcoach): 60席の長距離用座席車 (90両)
アムコーチ (Amcoach): 84席の短距離用座席車 (271両)

1975年 8月5日よりアムフリートIの運転が開始され、アムトラックは「1975年はアムフリートの年」とPRし、時刻表でもアムフリート使用列車を「アムフリート・サービス」として強調しました。

アムフリートII

1981年から1983年にかけて二次発注が行われ、150両の「アムフリートII」が製造されました。内訳は以下の通りです。

アムコーチ (Amcoach): 59席の長距離用座席車 (125両)
アムラウンジ (Amlounge): 軽食カウンター、4人掛けボックス席10個、17席のラウンジカー (25両)

アムフリートIIは長距離列車の座席車置き換えを目的として導入され、大型窓、広いシートピッチ、折り畳み式レッグレストを備えています。寝台車の製造はなかったため、アムトラックでは座席車などをアムフリートに置き換えた上で、旧来の荷物車、寝台車、食堂車などと混結して運転されることもありました。

設計

共通事項

アムフリートIとIIの主な違いは、デッキの数です。アムフリートIは車両両端にデッキがありますが、アムフリートIIは片側に1箇所のみです。

コーチ (普通座席車)

バッド社は合計361両のアムフリートI座席車を製造し、うち90両が長距離列車用（60席）、271両が短距離列車用（84席）でした。アムフリートII座席車は125両全てが長距離列車用で59席を備えています。

アムフリートの普通座席車は基本的に片側2席の配列ですが、アムフリートII座席車には車椅子スペースを設けるために1席のみの配置となっている箇所があります。座席背面には折り畳み式テーブル、座席の上下には荷物棚が設けられています。化粧室は片側の車端部にあり、荷物棚や自転車用ラックを備えた車両もあります。1980年代には、長距離列車用アムフリートI普通座席車の多くが改装され、北東回廊の「メトロライナー」用上級座席車となりました。

カフェカー

バッド社は54両のアムフリートI「アムカフェ」と37両の「アムダイネット」を製造しました。「アムカフェ」は中央に供食カウンターと53席の座席、「アムダイネット」は8人分のテーブル席と23席の座席を備えています。いずれの車両も重量は約50トンです。

「アムカフェ」のデザインは人気がなく、1980年代から1990年代にかけて様々な改装が施されました。例えば、「アムダイネット」を全席テーブル席としたり、「メトロライナー」用の上等客室「クラブ・カー」や、上等座席車とテーブル席の合造車にするなどの改造が行われました。2010年代までに、ほとんどのカフェカーは「クラブ・シート」と軽食堂車の合造車に改造されています。5両の「アムダイネット」は「インター・アメリカン号」用に改造され、ラウンジスペースが設けられました。また、21両が「メトロライナー」用に改造されています。2010年代までに、2両が短距離用座席車に改造され、残るすべての「アムダイネット」が全席テーブル席に改装されました。

運用

アムフリートは、米国北東部の架線電化区間や狭隘トンネルに対応しているため、北東回廊線などで重点的に使用されています。例えば、「ノースイースト・リージョナル」などで高速運転されています。

かつてはサン・ホアキンなどカリフォルニア州各線でも用いられていましたが、1990年代以降、ホライゾン客車や2階建ての「カリフォルニア・カー」に置き換えられたため、西海岸地区での運用はほぼ消滅しました。現在では、デルマー競馬場輸送や感謝祭の多客臨としてサンディエガン区間にわずかに残るのみです。アムトラック・カスケーズでは、アムフリートは使われずタルゴ客車で運転されています。

参考文献

Foster, Gerald L. (1996). A Field Guide to Trains of North America. Boston: Houghton Mifflin.
Simon, Elbert; Warner, David C. (2011). Amtrak by the numbers: a comprehensive passenger car and motive power roster, 1971-2011. Kansas City, Missouri: White River Productions.
Amtrak (August 1990). Amtrak's Passenger Trains.
Johnston, Bob (March 2015). “Giving passengers the business”. Trains 75 (3): 22–23.

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