アメリカかぶれ (郷ひろみのアルバム)

郷ひろみ『アメリカかぶれ』：秋元康×難波正司が織りなす音楽世界

1990年6月1日、CBS/SONY RECORDSより発売された郷ひろみ26枚目のオリジナルアルバム『アメリカかぶれ』は、同時代の音楽シーンを彩る、聴き応えのある作品です。前作『DRIVING FORCE』から約1年ぶりとなる本作は、作詞を秋元康が全曲担当し、編曲を難波正司（1曲を除く）が担当するなど、豪華な制作陣が参加しています。

アルバムの表題曲である「アメリカかぶれ」は、塩塚博作曲による郷ひろみの60thシングルカップリング曲として先行リリースされた楽曲です。そして、60thシングルの表題曲「Wブッキング」も収録。フィリップ・ラビル、ブリス・ホムス、パトリック・ルメートルによる作曲は、アルバムに国際的な色合いを添えています。

さらに、本作には後にシングルカットされた楽曲が複数収録されています。まず、61stシングルとして表題曲となった切ないバラード「もう誰も愛さない」は松本俊明作曲による珠玉のメロディーが魅力です。また、同シングルのカップリング曲としてリリースされた「君以外に好きな人がいる」も見岳章作曲による、郷ひろみの歌声をより引き立てる一曲です。

アルバム全体を通して、秋元康の巧みな作詞と、難波正司の洗練された編曲が見事に融合し、郷ひろみの魅力を最大限に引き出しています。バラエティに富んだ楽曲群は、聴く者の心を掴んで離しません。

塩塚博作曲による「どうする？」や「いつか愛した女たち」、見岳章作曲による「芝浦ゴシップ」「ALL MY LIFE」、谷本新作曲による「81〜eighty one〜」など、それぞれの作曲家の個性が光る楽曲の数々は、アルバムに奥行きを与えています。

そして、アルバムの聴きどころの一つとして、小室哲哉作曲・編曲による「空を飛べる子供たち〜Never end of the earth〜」が挙げられます。この曲は、日本テレビ系列で放送されたドラマ『刑事貴族パート1』の後期前半エンディングテーマとして使用され、大きな話題となりました。この楽曲は、アルバム全体の中で異彩を放ち、その存在感でリスナーを魅了します。

『アメリカかぶれ』は、単なるポップアルバムではなく、秋元康の作詞、難波正司の編曲、そして様々な作曲家たちの才能が融合した、郷ひろみのアーティストとしての幅広さを示す、非常に完成度の高い作品と言えるでしょう。80年代後半から90年代前半のJ-POPシーンを代表する一枚として、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

このアルバムは、郷ひろみ自身の歌唱力と表現力の高さ、そして制作陣の卓越した才能が三位一体となって生み出された、紛れもなく傑作です。その魅力を再発見し、改めて堪能してみてはいかがでしょうか。

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