DRIVING FORCE

郷ひろみ『DRIVING FORCE』：都会のエネルギーとノスタルジーが交錯するサウンドスケープ

1989年6月1日、CBS・ソニーよりリリースされた郷ひろみ25枚目のオリジナルアルバム『DRIVING FORCE』。前作『MY SELF～Sincerely yours』から約2年1ヶ月、オリジナルアルバムとしては前作『LOVE of FINERY』から2年2ヶ月ぶりのリリースとなった本作は、新たなサウンドプロデュースで話題を呼びました。

共同プロデューサーに吉田健氏を迎え、洗練されたサウンドと郷ひろみの魅力的なボーカルが融合した全10曲は、都会の煌めきと、郷愁を誘うメロディーが絶妙なバランスで配置されています。

都会の息吹と情感的な旋律

アルバム冒頭を飾る「都会はBABY BLUE」は、都会を「まち」と読むユニークなタイトルが印象的です。都会の風景と郷愁を込めた歌詞、そして都会の夜を彩るようなサウンドは、都会生活の多様な感情を表現しています。続く「あの夏の日」は、59thシングルのカップリング曲として先行リリースされ、夏の思い出を鮮やかに呼び起こす、聴く者をノスタルジックな気持ちにさせる楽曲です。

アルバムの中核をなすのは、59thシングルの表題曲でもある「最終便にまにあえば」です。テレビ朝日系列音楽番組『郷ひろみの宴ターテイメント』のテーマソングにも起用されたこの曲は、疾走感あふれるサウンドと、心に響くメッセージが特徴です。

郷ひろみ自身の才能が光る楽曲たち

アルバムには、郷ひろみ自身による作詞・作曲の楽曲も複数収録されています。「GIRL！」、「I WANNA DANCE TONIGHT」、「YOU ARE SUCH A…」といった曲は、郷ひろみの音楽性の幅広さを示す、力強い楽曲群です。「MY HOMETOWN」は高柳恋氏による作詞で、郷愁感あふれるメロディーが郷土愛を表現しています。

一方、「さいはてBLUE WAVE BAY」や「NEVER TO SAY GOOD-BYE」は、山崎稔氏作曲による壮大な楽曲で、聴く者の心を揺さぶるドラマチックな展開が魅力です。「変わらない朝」は、高柳恋氏による作詞と、岩田雅之氏による作曲という組み合わせで、穏やかな朝の情景を描いた、静謐な曲調の楽曲です。

豪華ミュージシャン陣が織りなすサウンド

『DRIVING FORCE』には、数々の著名なミュージシャンが参加しています。プログラミングには吉田健氏、北城浩志氏、小滝満氏、石川鉄男氏らが参加し、楽曲に深みを与えています。ギターには佐橋佳幸氏、逆井治氏、松原正樹氏らが参加し、多彩なギターサウンドを聴かせます。

ドラムは村上"ポンタ"秀一氏が担当し、その安定したリズムが楽曲全体を支えています。さらに、キーボード、パーカッション、ストリングス、ホーンセクションなど、多くのミュージシャンが参加することで、楽曲に奥行きと広がりを与えています。

郷ひろみの音楽的進化を示す1枚

『DRIVING FORCE』は、80年代後半の郷ひろみの音楽的到達点を示す、重要な作品です。都会の洗練されたサウンドと、郷愁を誘うメロディーの融合、そして豪華なミュージシャン陣の参加によって、聴く者を魅了する、完成度の高いアルバムとなっています。このアルバムを通して、郷ひろみの音楽的進化と表現力の豊かさを改めて感じることができるでしょう。

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