アメリカシロヒトリ

アメリカシロヒトリについて

アメリカシロヒトリ（Hyphantria cunea）は、鱗翅目に属するヒトリガ科の一種です。この種は、もともとは北アメリカで見られる生物ですが、戦後に日本にも移入され、現在では全国的に分布しています。日本における最初の確認は1945年、東京で行われたとのことです。以降、関東地方を中心に広がりを見せています。

分類

本種はヒトリガ科に属し、以前はヤガ上科の独立した科として認識されていましたが、最近の分類学的研究によりErebidae科の亜科であるArctiinaeに位置付けられることが増えています。これにより、アメリカシロヒトリはより広い生物群の一部として理解されています。

分布

アメリカシロヒトリは北アメリカをその原生地とし、外来種としてヨーロッパやアジア各地に広がっています。特に、中国や韓国、日本（北海道・本州・四国・九州）でも確認されており、これらの地域では戦後に持ち込まれたと考えられています。

特徴

アメリカシロヒトリは年に2回（場合によっては3回）発生し、樹皮の下や樹幹の隙間で蛹として越冬します。成虫は主に5月から6月、あるいは7月から8月にかけて現れ、体長は約1cm、翅を広げると30mm程度になります。羽は全体的に灰白色で、赤みを帯びた体を特徴とし、前翅には小さな黒点があります。ただし、2度目以降の発生では黒点が薄れることがあります。

産卵は成虫の葉裏に行われ、幼虫は5月から7月、または8月から9月の期間で見られます。初期段階の幼虫は、糸に覆われた巣で集団生活をしながら葉肉を食べますが、成長するにつれ、葉をばらばらに食害するようになります。彼らは雑食性で、好んで食べる植物にはプラタナスやトウカエデ、サクラ、ミズキ、クワなどがあります。

被害

アメリカシロヒトリの毛虫には毒針毛がないため、直接的に人間に害を及ぼすことはありません。ただし、アレルギー反応を示すケースもあるため注意が必要です。これらの幼虫は、大量に葉を食べるため、樹木に大きな影響を及ぼし、また、糞の付着によって洗濯物や建物が汚れることもあります。

駆除方法

アメリカシロヒトリを駆除するには、特に初期段階の幼虫が群がっている時期に枝を切り落とし、それを踏みつぶす方法が非常に効果的です。また、必要に応じて、農薬を使用することも考慮され、スミチオンやオルトラン水和剤などの薬剤が良く用いられています。

参考文献

• - アメリカシロヒトリ 中公新書 伊藤嘉昭 編 1972

関連項目

• - シロヒトリ

このように、アメリカシロヒトリは日本において注意を要する生物の一つであり、適切な管理が求められる存在です。

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